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美容技術を伝え、カンボジアの若者支援:ヘンケル

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カンボジアでの美容職業訓練

ヘンケルジャパンは2月1日から3月31日まで、カンボジアの青少年に向けた美容職業訓練のボランティアトレーナーを募集している。選考を通過したトレーナーは、恵まれない青少年の自立支援などを目的として、6月にカンボジアへ渡航し日本の美容技術を指導する。「未来をつなぐ夢はさみ」と銘打たれたこの取り組みは今年で10年目。同国でこれまでに277人の生徒が受講し、そのうち3人が美容サロンをオープンして独立、40人が美容関連で就業した。(オルタナ編集部=沖本啓一)

ヘンケルジャパンが2008年から実施している「未来をつなぐ夢はさみ」は、認定NPO法人「国境なき子どもたち」(KnK、本部・東京)と協同で、同NPO法人が支援するカンボジアの恵まれない青少年を対象に、15日間のプログラムの中で、カットの技術や理論など日本の高い美容技術を伝えることで自立を支援したいという思いからスタートした。現地にある同NPOの施設「若者の家」を拠点として利用し、カンボジアの青少年に日本人美容師の技術を輸出する。

職業訓練によって現地の貧困問題の解決を目指す。「未来をつなぐ夢はさみ」の谷水 義徳・担当責任者は「同国はビューティーに興味を持ってくれそうな人たちが多く、自立支援や教育に前向きです。KnKの『若者の家』を拠点とすることで、現地のケアワーカーとも濃密にコミュニケーションが取れ、改善点なども議論しています」と説明する。

これまでに受講した277人の生徒のうち、3人が美容サロンを開店、40人の就業の道を開いた。新たに床屋をオープン予定の生徒には、事業継続に必要な備品などを「夢はさみ基金」から贈呈する予定。過去にこの取り組みを通じて初めてはさみを握った生徒が、のちに講師として参加したこともあるという。

日本からの美容師の参加は、昨年までに延べ47人。サロンのオーナーや現役の店長など、経験豊かな人材がカンボジアに渡航している。取り組みの趣旨に賛同する、カット基礎理論を理解しているなどいくつか条件があり、トレーナーは約12万円の渡航費も含めて完全井ボランティアだが、多くの応募がある(応募詳細)。

10年目の今年は『若者の家』が改装し、今までにできなかったブローやカラーのテクニックなどより幅広い教育が可能になる予定だ。谷水氏は「プロジェクトは毎年良いものに成長していると感じます」と手応えを語る。カットする技術で夢をつなぐ取り組みは「今後も継続することが使命」(谷水氏)と意気込む。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

オルタナ編集部
好きな食べ物は鯖の味噌煮。