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障がい者と就労施設を結ぶサイト開設、情報不足解消へ

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障がい者の就労支援を行うLITALICO(東京・目黒)は3月に、障がい者と就労支援施設をマッチングする情報サイトをオープンする。これまで各事業所の情報はインターネット上には少なく、自分に合った選択が難しいという課題があった。同サイトでは、現利用者の障がい種や作業の内容、工賃、就職後の定着率などを載せる。情報の透明性を高めることで、障がい者が自分らしく働く機会を得られるような社会を目指す方針だ。(辻陽一郎)

就労支援施設は全国に約1万7000ある。3月にスタートする情報サイトの「LITALICO仕事ナビ」には、全国の事業所の情報を掲載していくという。大切にしている点は「情報の透明性」だ。LITALICO新規事業開発室の高寺雄二氏は「仕事ナビでは就職者数の項目も設けました。記入は必須ではありませんが、情報公開しているところ、いい事業所に人が集まるようにして、業界全体を良くしていきたいです」と語った。

人集めの課題に貢献

働きたい障がい者が事業所を探すとき、これまでは医療機関や行政機関経由が多かった。だが、近年は事業所を探すのにインターネットを利用する人も増えてきているため、事業所との間に情報のギャップが生まれている。

LITALICO取締役の中俣博之氏は「事業所を運営する社会福祉法人やNPO法人というプレイヤーは、時間や金銭面からもインターネット集客に力を注ぐことが難しい。そこに力をいれると、支援の時間を削ることになってしまいます」と課題を話した。

特に「就労移行支援」の事業所は人集めの課題感が大きい。就労移行支援では、一般企業への就職をサポートすることが目的のため、利用者が施設をやめることが一つのゴールだ。よりよい施設ほど、利用者が卒業し減っていき、経営が悪化するというジレンマとなる。

ウェブサイトを持たなかったり簡素だったりする事業所もあるため、仕事ナビはこうした事業所をサポートする側面も持つ。中俣氏は「それぞれの事業所に特徴があります。車の製造に特化しているところやプログラミングをしっかり教えてくれるところ。自動車メーカーの仕事に特化している施設もあります。仕事ナビでは事業所ごとに、どんなところに力を入れているかがわかるようにしていきたい」という。

LITALICO仕事ナビの画面例

企業の障がい者雇用促進にも

4月からは企業の障がい者法定雇用率が2.2%にアップする。今後、雇用を増やすには精神障がい者の採用を進める必要があるが、雇用後のケアや対応に悩んでいる企業も多い。就労移行支援では、就職後も定着の支援をするため、企業からの期待も大きい。

昨年、民間企業への雇用は47万人と13年連続で過去最高となった。民間企業への障がい者雇用促進のためにも、より良い就労支援施設を見つけられかが重要である。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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