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パーム油のリスク(3/3)日本企業は周回遅れ

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森林伐採により開発されたパーム農園 写真提供:地球・人間環境フォーラム

パーム油は森林破壊や児童労働など環境・破壊リスクが大きいが、日本企業の対応は、米国や欧州に比べて大きく遅れを取っている。「環境に良い」として、リスクを知らないまま発電に使い続けてしまうと、「レピュテーションが悪くなるだろう」と専門家は指摘する。(オルタナS編集長=池田 真隆)

WWFインターナショナルが発表した「パーム油バイヤーズスコアカード2016」では、認証パーム油への取り組みを日本と米国の企業ごとにランク付けしている。

米国企業では、ウォルマートやクリスピークリームドーナツ、ケロッグなど14社が最高得点である9点を獲得。認証パーム油の使用割合が100%の企業数は13社に及んだ。

一方で、日本企業で9点を取ったのは、ウォルマート傘下の西友のみ。次いでサラヤが7点、味の素や花王、ライオンなど5社が5点と続いた。

西友はグリーンパーム認証クレジットを取得することで、認証パーム油の使用割合100%を達成。次いでサラヤ(51%)、花王(24%)、コープクリーン(5%)という結果だった。

2016年の日本のパーム油の輸入量は約65万トン。そのうち8割以上が食品に使われる。だが、パーム油のリスクにアンテナを張っているのは、「大手数社だけ」(地球・人間環境フォーラム 企画調査部の飯沼佐代子氏)だとし、「原料調達までは意識が及んでおらず、パーム油のリスクを理解していない企業が多い」と指摘する。

国内の動きでは、不二製油グループ本社が2016年に「責任あるパーム油調達方針」を策定し、味の素などが旗振り役となりシンポジウム「RSPOジャパン・デー2016」などを開いたが、欧米と比べるとまだ緒に就いたばかりだ。

熱帯林行動ネットワーク(東京・新宿)の調査によると、食品業界で、RSPO認証を取り、森林破壊ゼロを目指すと明記している企業は不二製油だけだった。

池田 真隆 (いけだ・まさたか)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナS編集長
1989年東京都生まれ。立教大学文学部文芸思想学科卒業。大学3年から「オルタナS」に特派員・インターンとして参画する。その後、編集長に就任し現在に至る。オルタナSの編集及び執筆、管理全般を担当。企業やNPOなどとの共同企画などを担当している。
「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。