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企業の社会貢献支出額が過去最高:経団連が調査

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経団連が実施した企業の「社会貢献活動実績調査」で、企業343社における2016年度の社会貢献に関する支出額が1社平均5億9700万円となったことが分かった。前年度比10.6%増で過去最高、4年連続の増加だ。増額の要因にはSDGsへの対応があるという。(辻陽一郎)

社会貢献活動実績調査によると、社会貢献支出の内容で最も多かったのは「金銭寄付」だ。1社当たり平均では3億1500万円で全体の72%となった。金銭以外には「現物寄付」が1社当たり2500万円だった。

現物寄付は企業ごとにさまざまな特色がある。福祉車両やデジタルカメラなどの寄贈もあれば、環境保全団体へ植樹のための苗木を寄贈したり、フードバンクへ食料品の提供を行うこともある。

金銭や物の寄付だけではなく、社員が参加して社会貢献する取り組みもある。同調査では「従業員の参加・派遣」は1社当たり3100万円。社員参加では地域での清掃活動や環境保全活動が多いが、NGOが企画するチャリティウォークに参加する企業もある。社員が実際の活動に参加することで、地域課題や社会課題を知ることにもつながる。

金銭寄付の次に支出で多かったのは「自主プログラム」で全体の21%。1社当たり1億2500万円だ。自主プログラムは、各企業が独自に実施する社会貢献プログラムで、NPOや教育機関などさまざまなステークホルダーと恊働することも多い。

同調査によれば、分野別の社会貢献支出は「教育・社会教育」が最も多く、教育分野は4年連続でトップとなった。経団連の担当者は「教育分野は活動内容も幅広い。奨学金もあるので金額も大きくなる」という。企業がそれぞれの特徴を活かして、子どもたちに学習機会を作り、社員が講師となって教えるプログラムもある。

2位は「文化芸術」が17.2%、「健康・医学、スポーツ」が14.4%で3位と続いた。「災害被災地支援」分野は東日本大震災があった2011年には最も多かったが、今回の調査では7位となった。

社会貢献への支出額と、企業の資本金の規模の相関関係もみられた。資本金1000億円以上は1社あたりが17.33億円。次いで500〜1000億円は8.68億円と半分ほど。100億円未満の企業となると0.58億円と大きく減少した。

SDGsが2015年に採択されてから、規模に関わらず考え方を取り入れている企業も増えている。同調査ではSDGsの考え方をすでに取り入れている企業と検討している企業を合わせると73%となり関心の高さが伺える。今後もSDGsが社会貢献活動の強化につながっていくことが期待される。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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