• 公開日:2017.11.27
カネカのプラスチック、「微生物が分解」と国際認証
    • 辻 陽一郎

    海に流れ出る大量のプラスチックゴミImage credit:brady c

    化学メーカー大手のカネカは15日、同社が開発した植物油脂が主原料のバイオプラスチックが「海水中で生分解する」と国際的な認証機関に認められたと発表した。生分解とは、海水中で微生物によって自然に分解されるということ。昨今、プラスチックの海洋ごみが増え続け生態系に与える影響が懸念されている。同社は認証されたプラスチックの用途を広げていく考え。(辻陽一郎)

    海洋ごみのなかでも深刻な社会課題となっているのがマイクロプラスチックの増大だ。5mm以下の大きさのプラスチックごみで、プラスチックが紫外線や波によって断片となったものや、洗顔料や化粧品に含まれるマイクロビーズがある。

    マイクロプラスチックは汚染物質を吸着する性質がある。魚などの生き物が飲み込むと体内に汚染物質を溜め込んでしまうため、この魚を食べることで人間の身体への影響も懸念されている。

    マイクロプラスチックは一度海や川に流れ出てしまうと、回収することはほぼ不可能だ。生分解性プラスチックはその解決策の一つとして注目されている。生分解性プラスチックであれば、自然界に存在する微生物の働きで水と二酸化炭素に分解される。

    カネカの生分解性プラスチックは、ベルギーの認証機関VINÇOTTEによって、「30度の海水中で生分解度が6ヵ月以内に90%以上」になることが認められた。今後は漁具や釣り具など海洋投棄が多いものへの用途拡大を進めていくという。

    もう一つ解決策として重要なことは、プラスチックごみがマイクロプラスチックになる前に素早く回収することだ。東京の荒川河川敷でごみを回収し、市民の環境保全意識を高める活動を行う荒川クリーンエイドの今村和志理事/事務局長は「私たちは技術革新によるこれらの問題の解決にも大いに期待しています。一方で、プラスチックが分解されるのなら自然界に捨てても問題ないと思う人が出てこないか、分解過程で海にかかる負荷、プラスチックを作るときの添加剤の影響なども気になります。性善説の先にも問題は潜んでいるのかもしれません」と指摘する。

    written by

    辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

    オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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