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羽毛は100年続く循環素材、グリーンダウン広がる

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右から佐竹和志氏、豊島株式会社の溝口量久氏、喜多泰之氏、左が長井一浩氏

「羽毛は100年使うことができる素材。役目を終えたダウンや羽毛布団は循環資源であることを知ってほしい」。リサイクル羽毛の普及を目指して活動する「グリーンダウンプロジェクト」(三重県多気郡)の長井一浩理事長は14日に開いた業界関係者向けのイベントでこう話した。(辻 陽一郎)

回収して洗浄し再生した羽毛で作るグリーンダウンには企業も注目し始めている。人気ファッションブランドのアーバンリサーチやユナイテッドアローズなどはグリーンダウンを取り入れた製品の販売と羽毛製品の回収も行う。

羽毛は食肉用の水鳥から採取しダウンや羽毛布団に使用される。だが、使用後は捨てられることが多かった。グリーンダウンプロジェクトはこの大量生産・大量消費、使い捨ての状況を改善するため、さまざまな業界の企業と協力し羽毛を循環させるシステムを普及させる。

回収、洗浄、販売、使用と回っていく「羽毛循環サイクル社会」には多くの企業が共感し、各々の取り組みを始めている。アーバンリサーチは使用済みの羽毛製品を回収するBOXを店内に設けた。同社の喜多泰之氏は、「最初は回収しても集まるのか不安も大きかったけれど、トータル1300点以上を回収することができました。新規のお客が回収のために来店いただくケースも出てきています」と語った。

羽毛の回収実績は2014年で約5トンほどだったが年々増加し、今年は約25トンに達する見込みだ。グリーンダウンを使用した製品を販売するユナイテッドアローズの佐竹和志氏は「グリーンダウンは鉄やビンと同じようにリサイクルすることでまったく新しい物に生まれ変わります。優秀なリサイクル素材です」という。

グリーンダウンは洗浄して不純物を取り除くことで、機能性においても、新毛と比べて遜色ないものに生まれ変わる。きちんと循環させれば100年使えるリサイクル羽毛が広がれば、ゴミの削減になり、新たな水鳥の命を奪うことなく羽毛を活用できる。

喜多氏は「日本ではリサイクルやエコを恥ずかしい、ダサいという世代もいるかもしれないーー。エシカルのファッションは後進国かなと思っていました。けれど、売れ筋のダウンに使ったところ実績はおちず、むしろ上向きでほぼ完売しました。今後はもっと回収が進み、循環されるのが当たり前になればいいなと思います」と抱負を語った。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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