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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

女性の感性を生かした持続可能な社会づくりとは

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オープニングセッションに集まった100人の参加者たち

女性の感性や視点を生かした社会づくりを考えるイベント「HAPPY WOMAN BUNKASAI 2017」が11日に東京・六本木で開催され、40のセッションに約1200人が参加した。SDGsをテーマにしたオープニングセッションでは、女性のCSR担当者で結成される団体「CSR48」代表の太田康子氏や国連広報センターの根本かおる所長などが登壇。「女性の活躍がSDGs17目標の達成の基盤になる」などの意見が述べられた。(オルタナ編集部=小松遥香)

オープニングセッション「女性の感性を生かした社会的ムーブメント・社会的インパクトの『共創』について」に登壇したのは、国連広報センターの根本かおる所長、CSR48の太田康子さん、ジャパンビジネスラボの杉村貴子代表、産婦人科医の対馬ルリ子医師、グーグル サーチ&ブランドマーケティングの平山景子・統括部長。

国内の格差問題からSDGsに関心をーー女性のエンパワーメントが17目標達成の礎になる

国連広報センターの根本所長

根本かおる・国連広報センター所長は、「SDGs(持続可能な開発目標)は『このままでは地球が持たなくなる』という危機感から生まれた。地球は毎年、最高気温を更新している。経済格差の広がりも深刻だ。不平等感は社会を不安定化させ、紛争の種になる」と説明。

日本の課題について触れ、「7人に1人の子どもが貧困ライン以下で生活しており、シングルマザーの貧困も深刻だ。また日本の女性は、同じ仕事をしていても男性の75%の賃金しかもらえていない。経済格差は国外の問題ではなく、日本人女性が抱える問題でもあるのだ」と「自分ゴト」として捉えて欲しいと話した。そして「女性のエンパワーメントがSDGの17目標を達成するための礎になると考えられている」と語った。

女性の力でCSRに新風を吹かせ、企業の力でより良い世の中へ

CSR48の太田総監督

CSR48は、約80社のCSR担当者やCSRに関心のある女性たちが集まり、楽しみながらCSRを学び、知識や経験を磨くことを目指している団体だ。同団体で総監督を務めるリコージャパンCSR推進部の太田康子氏は、「企業は、事業を通してどのようにSDGsを達成できるかを考え取り組みを始めている」と企業の動向を紹介。

太田氏は、CSRという部署について「単独で目標を達成することはできない部署だ。時には役員を説得し、人事や総務などとも調整しながら、会社の進むべき方向に導いていく。そんな時に、女性が得意とするコミュニケーション力や調整能力、人を巻き込む力が求められる」と説明した。

そして、CSR48のミッションに言及し、「女性同士が集まると、色々なアイデアが自由に溢れてくる。企業がより良い世の中に貢献できるように企業横断型の女性同士の連携を通して、CSRという部門に新しい風を起こすべく活動していきたい」と力強く語った。

ワークライフバランスの前に、自分の人生を俯瞰しワークライフデザインを

左から杉本代表、対馬医師、平山氏

人材育成を行うジャパンビジネスラボの杉村貴子代表は、ワークライフデザインの重要性を語った。「自分の人生を俯瞰することから始めて欲しい。ワークとライフを両翼として、人生を主体的に能動的に生きていくために何をすれば良いのか。どのように生きていきたいかを考えてほしい」と話した。

女性も男性も共に活躍するための働き方について触れ、「女性は2万語で男性は7000語でコミュニケーションをとると言われている。このギャップを理解し、女性の得意とするコミュニケーションの力によって円滑に仕事を進めることが必要だ」と語った。

女性ホルモンと向き合うーー人生と仕事のために定期的なヘルスチェックを

対馬ルリ子女性ライフクリニックの対馬医師

産婦人科医の対馬ルリ子医師は、女性の人生・生活に寄り添ったヘルスケアの推進と後進の育成に長年取り組んでいる。

女性特有の病気が増えている現状について、「ライフスタイルの変化により、妊娠・出産時の無月経期間が減った。寿命が延び、月経回数が増えたことで、女性ホルモンの揺らぎと変動が増えている。これにより子宮や卵巣、乳房の病気が増えている」と話した。

一方で、対馬医師は、こうした女性特有の病気について情報を提供する仕組みや相談窓口などケアする体制が日本社会にはまだないと指摘した。

女性に対するヘルスケアの充実が社会的に必要な理由について、「女性ホルモンは命を守るホルモンだ。出産をし、寿命を延ばし、メタボ系の病気や癌、心臓系、脳血管系の病気を少なくする役割を担っているのが女性ホルモンだ。女性ホルモンがなくなる更年期は、血管の病気、脳の病気などが増える」と説明。

「女性の健康ステーションとウーマンズヘルスの体制を法的・政治的につくっていくことが人生最後の目標だ」と締めくくった。

働き方改革は、すべての人が自分らしく働けるために

グーグルの平山氏

グーグルの平山景子氏は、同社がアジア太平洋地域で取り組むテクノロジーで女性が直面する問題を解決するプロジェクト「Womanwill」を率いている。

平山氏は、働き方改革について「長時間労働を是正するなどテクニックの方に走りがちだ。しかし、それは手段でゴールとは違う。働き方改革が目指すべきところは、すべての人が自分らしく働けることだ」と話した。

そして「テクノロジーの力を借りることによって、これまでのハードな働き方からスマートな働き方に変えていきたい」とした。グーグルは昨年、30社と共同で行った在宅勤務のトライアル実験の結果について解説。実験の開始前は、テレワークによって業務上のコミュニケーションに支障がでると答えた人は32%いたが、実験後は2.9%だったという。

この結果を受けて同社は今月、期間限定で「Google Telework Lounge」を六本木ヒルズに無料でオープンさせ、テレワークを普及するためのセミナーも開催している。

「HAPPY WOMAN BUNKASAI 2017」はHAPPY WOMAN(東京・港)が今年初めて開催したイベント。「音」「技」「体」「食」の4つのテーマの文化祭が同日に行われ、サントリーホールで開催された「音祭」にはシンガーの倉木麻衣さんなどが登壇した。

小松 遥香

オルタナ編集部。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。