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東京メトロと大日本印刷、LINE、「アンドハンド」プロジェクトチームは12月11日から15日の5日間、東京メトロ銀座線で妊婦と席を譲りたいと思う人をLINEでマッチングする実証実験を行う。今回の実験結果をみながら、将来は妊婦だけでなく身体的・精神的に不安や困難を抱える人たちに席を譲る仕組みを構築していきたい考えだ。(オルタナ編集部=小松遥香)
「妻が妊娠した際、妊婦さんでも席をなかなか譲ってもらえないと知りました。それが『アンドハンド』を立ち上げたきっかけです」と「アンドハンド」プロジェクトチームのタキザワケイタさんは話す。
「アンドハンド」プロジェクトを立ち上げたタキザワケイタさん
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「アンドハンド」は、妊婦や障がい者、外国人旅行者など外出時に身体的・精神的に不安や困難を抱える人とその人たちを手助けしたい人たちをコミュニケーションアプリ「LINE」でマッチングするプロジェクトだ。メンバーはそれぞれ別の企業に所属するデザイナーやコピーライターなどで、コアメンバーとサポートメンバーをあわせて18人の有志で構成されている。
同プロジェクトチームは、今回の実証実験のもとになった企画「スマート・マタニティマーク」で昨年、グーグル・ジャパンが開催する「Android Experiments OBJECT」でグランプリを獲得。今年3月には、LINEが開催する「LINE BOT AWARDS」も受賞している。
今回、3企業と共同での実証実験が実現したのは、プロジェクトチームに大日本印刷の社員がいたことがきっかけだった。同社はこの実験のシステム構築を請け負っている。
実験の場所には、ダイヤ乱れの少ない銀座線が選ばれた。東京メトロ広報部の山口貴大さんは、「妊婦のお客さまが立っているケースが多いことを認識しており、何らかの対策ができないかと考えていました。そんな時に今回の取り組みについて話があり、実験に参加しました」と語る。同社は、実証実験の中刷り広告を東京メトロ全線に出して啓発する計画だ。
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実証実験では、事前に、妊婦と座席を譲る「サポーター」になりたい人にLINEを使い「&HAND」のアカウントに登録してもらう。実験車両の中で、妊婦が「席に座りたい」というメッセージを同アカウントに送れば、サポーターに「妊婦さんが近くにいます。席を譲りましょう」というメッセージが通知される。サポーターは同アカウントに席を譲る意志を返信し、位置情報を伝え、座席を譲ることができる。
今回の実験では、「妊婦を助けたいと思うサポーターはいるのか」「実際に困っている妊婦が近くにいることが分かったら行動に移せるのか」「実際に行動をしたのはどのような人だったか」などを検証するという。
ゆくゆくは妊婦や障がいを持つ人など支援を必要とする人が手のひらサイズのキーホルダー型の機械を握ると、サポーターの携帯電話に通知が届き、位置情報も自動的に通知されるという風に簡単に席の譲り合いができる社会を実現していきたい考えだ。
実証実験を行う車両と時間
東京メトロ銀座線 指定列車の最後尾車両
① 上野駅 10:08 発 →(途中駅乗降可能)→ 表参道駅 10:33 着
② 渋谷駅 10:55 発 →(途中駅乗降可能)→ 上野駅 11:23 着
③ 上野駅 11:08 発 →(途中駅乗降可能)→ 表参道駅 11:33 着
④ 渋谷駅 11:55 発 →(途中駅乗降可能)→ 上野駅 12:23 着
⑤ 上野駅 13:47 発 →(途中駅乗降可能)→ 表参道駅 14:12 着
⑥ 渋谷駅 14:31 発 →(途中駅乗降可能)→ 上野駅 14:59 着
⑦ 上野駅 14:47 発 →(途中駅乗降可能)→ 表参道駅 15:12 着
⑧ 渋谷駅 15:31 発 →(途中駅乗降可能)→ 上野駅 15:59 着
小松 遥香(こまつ・はるか)
オルタナ編集部
アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。