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日立製作所や経団連が「SDGsとビジネス創出」を議論

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日立製作所が主催する「Hitachi Social Innovation Forum 2017」が1日、2日の2日間、東京国際フォーラム(東京・千代田)で開催された。2日目に行われた特別プログラム「サステナブルな未来の創出に向けた企業の使命」では、経団連、WBCD(持続可能な発展のための世界経済人会議)、ESG調査企業のグッドバンカー、日立製作所からパネリストが登壇。世界と日本のトレンド、投資、企業というそれぞれの視点から、SDGsをどうビジネスチャンスとするのか、事例を交えながらディスカッションを行った。(オルタナ編集部=沖本啓一)

2日間に渡って開催された「Hitachi Social Innovation Forum 2017」では、61のセミナーと4人の講演、6つのビジネスセッションが用意され、2日目には特別プログラムのパネルディスカッション「サステナブルな未来の創出に向けた企業の使命~SDGs達成に貢献する日立の社会イノベーション事業~」が行われた。登壇者は以下。

パネリスト
損保ジャパン日本興亜 代表取締役会長 経団連 企業行動・CSR委員長:二宮雅也氏
WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議) 副事務総長:ピーター・ホワイト氏
グッドバンカー 取締役・調査部長:倉橋麻生氏
日立製作所 理事 CSR・環境戦略本部長:荒木由季子氏

モデレーター
レスポンスアビリティ代表取締役:足立直樹氏

このパネルディスカッションの冒頭で、ピーター・ホワイト氏は「SDGsは『変革』『システム』をもたらした」と強調。「世界は喫緊の課題を多く抱えるが、私たちはSDGsというプロジェクトを手に入れた。2030年までに、特にエネルギー分野では、システムレベルでの大きな変革が起こる」と語った。

以下、ディスカッションより抜粋。

「SDGsというフレームワークが導入される前後でどのような違いがあるか」

二宮氏:SDGsは企業の行動の社会的なインパクトの再確認、事業の棚卸しの機会でもある。SDGsはBDGs(ビジネスの開発目標)だと言う人もいるほど、ビジネスでは積極的な姿勢で捉えられている。

荒木氏:SDGsは先進国、途上国、企業、NGOなど、さまざまな人の共通言語となった。ESGやCSRの取り組みへのトップのコミットメントに対しても有用だが、現場でも、共有して考える基盤となっている。

「SDGsをどうビジネスに結び付けるか」

荒木氏:技術だけではないイノベーションが重要。一例として、世界中の人が安全な水にアクセスするという課題に対し、日立製作所は全体のシステムをどうマネジメントするかという点で貢献できる。途上国だけではなく、先進国では老朽化した設備の修復へのアプローチにデジタル技術を活用することが考えられる。さまざまな分野の企業やNGO、学術機関などと協働することで、大規模な変革が実現できると考えている。

倉橋氏:企業ごとに特徴的な取り組みがある。投資の世界では、企業の技術がいかに先進性、革新性があるか、成長性に寄与するかという観点で評価をする。日本企業は社会課題を解決する技術力は持っているが、それでビジネスに成り立たせる力、マーケティング力が弱いと感じる。

「変革への強い意志とSDGsに関して」

ホワイト氏:SDGsは国連言語だが、これをCEOの言語に置き換えたらどんな意味になるか、と考えたい。国連言語をビジネス言語に翻訳するという視点を持つことが必要だ。

二宮氏:若い世代に持続可能な社会を受け継いでいくことは、今を生きている我々の責任だ。今、行動を起こさなければならない。「認識から行動へ変えていくこと」が強く求められている。

倉橋氏:世の中の変革にどう対応していくのかが、企業の競争力に直結する。ニーズや変化をキャッチできるセンスを磨くことが求められている。それをビジネスにするのは企業の中にいる人材であり、人材に対する取組みもSDGsに含まれている。今後もそういったことに対応する企業に注目したい。

荒木氏:長期の未来に渡って、私たち企業が社会から必要とされることができるのか、ということが突きつけられている。そのためには、ステークホルダーの意見や、社会の変化を敏感に察知して、私たち自身が変わっていかなければならない。

モデレーターの足立氏は「今までやってきたビジネスの延長線上には持続可能な未来はないのではないか。後世に振り返り『あの時、SDGsで社会が持続可能に走り始めた』と言ってもらえる瞬間に、私たちは立ち会っている。それを実現するためには、私たちが変革の一部にならなければいけない」とディスカッションを締めくくった。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

オルタナ編集部
好きな食べ物は鯖の味噌煮。