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豪企業、SDGs達成目指し分野横断型の手法を提案

企業経営とSDGs達成の両立を考える「Positive Impact Partnership for SDGs」と題されたセミナーが10月30日、東京・渋谷区の国連大学で開催された。Positive Impact Partnership(PIP)とは、豪Palladium社(本社プリスベン)が運営する民間企業の技術やファンドを活用した課題解決の手法で、分野を超えた企業の協働を提案した。セミナーではこのほか、キリンや住友化学などがSDGs達成に寄与する協働の事例や、自社の取り組みを紹介した。(オルタナ編集部=沖本啓一)

PIPについて説明をする豪Palladium社のジョアン・カベサス氏。同社はODA支援事業を行う日本企業アイ・シー・ネットと提携している。

複雑な問題に対して政府や企業などさまざまな部門の連携が必要になる。豪Palladium社の社会課題解決部門のマネージャーのジョアン・カベサス氏の説明によれば、連携の成果を測定する指標をポジティブインパクトと呼んでいる。ポジティブインパクトは長期的、持続可能な経済的、社会的価値を積極的に創出することだという。

従来、成功の定義は経済的な数字のみで測っていた。しかし成功の定義は経済のみでなく、社会に対してどれだけ「良い影響」を与えたかで測られることが必要だとカベサス氏は話す。

アイデアベースではなく、社会的な課題をビジネスチャンスと捉えることで、持続可能な「ビジネス」として発展することが企業には必要だ。投資家や行政の中にも、社会的な課題の解決を望む人は多く、こことの連携が必須となる。そこで、取り組んでいる課題は何かと見つめなおし、その課題に対しどのプレイヤーがあたるべきかという総合的な視点が欠かせない要素になる。

カベサス氏によれば、アジェンダや評価測定の方法の共有し、効果的なインパクトを創り出すことで、パートナーシップの実現性が増すという。PIPは、オープンイノベーションを促進し、企業や行政、投資家が課題に対して機能的に働くための基盤となることが狙いだ。

日本企業発の社会解決型ビジネスの事例として、セミナーに登壇したキリン執行役員CSV戦略部長の林田昌也氏は、キリンでの岩手県遠野市での取り組みを紹介した。岩手県遠野市はビールの原料となるホップの生産地だが、生産量が年々減り、現在ではピーク時の4分の一だという。キリンは遠野市と連携し、体験ツーリズムなどさまざまなイベントを開催。遠野の「まちづくり」に取り組み、新規参入ホップ農家の8軒増という実績を上げている。

住友化学の生活環境事業部・山口真広氏は、マラリア撲滅の課題取り組みの事例を紹介。同社の、殺虫剤を繊維に塗り込んだ蚊帳「Olyset Net」の販売にまつわるエピソードの他、これからの展開として「マラリア対策×デジタル」を標榜。IoT技術を駆使し、ドローンによってボウフラが発生する水たまりを発見し、殺虫剤を散布する構想を紹介した。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

オルタナ編集部
好きな食べ物は鯖の味噌煮。