サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

教育格差解消へ、学習管理ツールをNPOに無償提供

  • Twitter
  • Facebook

学習アプリを手がけるスタディプラス(東京・中央)はオンライン学習管理ツールの「Studyplus for School」を10月から、NPO法人キッズドア(東京・中央)へ無償で提供する。キッズドアは貧困状態にある子どもたちを対象に、無料で学習支援をするが、人材などリソース不足で十分な支援を届けられない課題もあった。同ツールでは自宅での学習を記録し、授業のない日にも先生と生徒の情報共有が可能になる。支援の質を上げることで、教育格差解消に貢献する。(辻陽一郎)

国内では、親の経済力による教育格差の広がりが深刻な社会問題となっている。経済的な理由により通塾や進学をあきらめる子どもたちも多い。こうした子どもを対象に多くのNPOが無料の学習会を開き、支援を行っている。

キッズドアも相対的貧困状態にある中高生などに対して、大学生を中心としたボランティアが勉強を教えている。日本では7人に1人にあたる約280万人の子どもたちが相対的貧困状態にあるという。

スタディプラスは学習意欲を高めることで教育格差を再生産しない社会を目指している。学習の進捗を管理するツールや学習管理SNSを通じて勉強のあり方を変える試みをしてきた。

実際の利用画面(学習記録の管理画面)

今回寄付することに至った経緯を、同社の黒須香名広報担当は「NPOならではの課題である人手不足や頻繁には塾に通えない生徒とのコミュニケーションの課題に対して、お力添えできるところが大きいのではないかと思いついたことがきっかけです。社会貢献活動の一端として無償提供するに至りました」という。

ボランティアが教える学習会は毎日開くことが難しいため、週に一回ほどとなる。そのため、日々の学習をサポートできないという課題があった。

Studyplus for Schoolを導入することで、先生と生徒とのコミュニケーションの円滑化を図ることができる。キッズドアではこれまで対面でしか把握が難しかった日々の学習記録を、子どもたちが学習会に来ていない日も含めて、オンラインで把握できるようになる。カルテ機能もあり、ボランティアスタッフ間で生徒の学習状況などの情報共有も効率化された。

今後は、無料の学習会を開く団体への支援領域を広げていきたいと話した。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

NPO新聞