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アフガニスタンにランドセル寄贈、14年目:クラレ

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ランドセルを受け取った子どもたち©ジョイセフ

化学メーカーのクラレは20日、「ランドセルは海を越えて」キャンペーンの応募受付を1月8日から開始すると発表した。使わなくなったランドセルを集め、文具を詰めて、国際NGOを通じてアフガニスタンの子どもたちに寄贈する。同キャンペーンは2004年から行われ、今回で14年目、15回目となる。これまでに10万個以上のランドセルをアフガニスタンの子どもたちに届けた。(オルタナ編集部=沖本啓一)

寄贈されたランドセルの一部(2017年)

使用済みランドセルの行き場は

ボランティアによる開梱、選別、再梱包作業。現地の信仰に配慮し、豚革製のランドセルは除かれる。

クラレが生産する人工皮革「クラリーノ」は、ランドセル用素材として7割のシェアを占めている。非常に強度が高く、耐久性に優れているが、子どもが小学校を卒業するとランドセルが使用されることはほとんどない。思い入れのこもりやすい身近なアイテムでもあり、捨てるにも忍びないという声が多い。

そこでクラレは2004年から、国際NGOジョイセフと協力し、使わなくなったランドセルを教育資材が不十分なアフガニスタンに届ける「ランドセルは海を越えて」キャンペーンを実施している。

今回のランドセル受付は来年1月8日から開始する。1万個を目安に、規定数が集まった時点で募集を締め切る。寄贈されたランドセルはクラレグループ社員を中心としたボランティア約150名(2017年)によって開梱、選別、再梱包される。同時に寄贈される、はさみやカッターなどの刃物以外の新品の文具も、手作業でランドセルの中に詰め込む。

海を越えてアフガニスタンの就学支援へ

©ジョイセフ

アフガニスタンでは、タリバン政権の時代に、女子の就学が原則的に禁止されていた経緯がある。長く続く内戦や政権の崩壊など、国内情勢が不安定なため教育の基盤が弱く、2011年時点での成人識字率は36%(女子は20%)に留まっている。外務省などをはじめ日本政府からも継続して支援を行っているが、同国の教育体制はまだまだ十分とは言えない。

クラレの広報部は「ランドセルをプレゼントすることで、子どもたちが教育を受けるきっかけにもつながり、子どもたちの夢も広がっていく」と話す。学校設備なども不足しているため、勉強机がわりに丈夫なランドセルが使用される例もある。

今回で15回目を迎える取り組みの反響は大きく、これまでに10万個以上のランドセルをアフガニスタンに届けた。しかし、アフガニスタンの教育問題は根が深い。クラレは「継続して行うことに意義がある。今後も長期的に取り組みたいと考えている」(同広報部)と話す。

現地でのランドセルの受け渡し©ジョイセフ
沖本 啓一(おきもと・けいいち)

オルタナ編集部
好きな食べ物は鯖の味噌煮。