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ネスレと日赤、災害救援者の心のケアで連携

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ネスレ日本の高岡浩三CEOと日本赤十字社の近衛忠煇社長

ネスレ日本は24日、災害救援者の心のケアを行うために、救護の場所に物資を供給する支援協定を日本赤十字社と結んだ。同社は、災害時に見過ごされがちな「救援者のストレス緩和」に力を入れる日赤の活動を後押ししたい考えで、救護班員などが集う場所にコーヒーやチョコレート製品、栄養補助食品などを提供する。(オルタナ編集部=小松遥香)

救援者は「隠れた被災者」と呼ばれる。災害という不安定な状況下で任務を行い、さらに被災者・遺族と接することなどによって直接・間接的にストレスを受けるためだ。また救援者が被災者や被災者の家族である場合もある。実際に、気分の高ぶりや無力感、不眠や動悸、持病の悪化といった心や体に変化が生じると言われる。

日本赤十字社は1995年の阪神淡路大震災をきっかけに、災害時の「こころのケア」活動に取り組む。全国の赤十字病院の看護師などを同活動の指導者やスタッフとして養成し、災害の際に被災者と救援者の心理的・社会的な支援を行ってきた。

救援者の心のケアの必要性は、被災者への心のケアの必要性に比べるとまだ認知度が低い。そうしたなかで、日赤は同救護班だけでなく救援活動に携わる自治体職員などに対しても、リラックスルームや健康相談室を開設するなどして救援者を精神的・身体的な支援をしてきた。

「こころのケア」活動に従事してきた日赤医療センターの板垣知佳子・看護師長によると、リラックスルームでは被災者に温かい飲み物を提供している。板垣看護師長は新潟中越地震での活動に振り返り、一杯の温かいコーヒーが救援者の不安を打ち明けるきっかけになったと話した。

ネスレ日本は、こうした被災地で発生する課題に取り組む日赤の活動を支援するために、コーヒーマシーンやコーヒー、ペットボトルコーヒー、チョコレート製品、栄養補助食品などを提供する。

神戸に本社を置く同社の高岡浩三CEOは、「阪神淡路大震災を経験したことで、企業として災害に対する当事者意識を持っている。しかし、これまで行ってきた義援金などの支援だけでは必ずしも100%支援していることにはならない」と語り、同社の理念である「共通価値の創造(CSV)」に基づき、日本で100年以上事業を行う企業として、自然災害という日本の社会的課題に対し、精神的な支援を含むさらに高いレベルでの支援をしていくとした。

小松 遥香

オルタナ編集部。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。