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青森県立高校生が「世界初」のFSC森林認証を目指す

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実習林で審査を受ける生徒たち


青森県立・五所川原農林高等学校の実習林で12日と13日の2日間、FSC(森林管理協議会)森林認証の本審査が実施された。書類の作成や間伐実習など、審査を進めたのは、3年生34人を中心とした同校の生徒。民間の審査機関「アミタ」は審査後、「国際認証機関に認証取得を推奨する」と発表した。認証取得が実現すれば、世界初の高校生によるFSC認証の取得事例となる。関わった生徒の全員が卒業後、林業分野への進路を考えており、将来を嘱望されている。(オルタナ編集部=沖本啓一)

審査が行われたのは青森県五所川原市金木町芦野の同校の実習林、約20ヘクタール。12日に書類審査が行われ、13日には森林での現場審査が実施された。

下草を残しているか、地域特有の植物を伐採しすぎていないか、森林内の広葉樹と針葉樹の割合などに加え、装備や確認などの安全確保も審査対象となる。書類審査も含め約100項目にわたってチェックが行われた。

書類の準備、審査員からの質問への対応、実習審査など、審査行程のすべてを、教員の指導のもと同校の森林科学科の生徒が実践した。現場審査にあたって同校の山口章校長は「世界で初めての挑戦。今日は歴史を作る1日になる」と生徒を激励。生徒は「普段と変わらず、真剣に」(山口校長)作業に取り組んだ。

審査終了後には民間の審査機関「アミタ」の担当者より「国際機関に認証取得を推奨する」とのコメントが発表されている。審査結果が出るまでには3-4か月かかるが、取得した場合、世界初の高校生によるFSC認証取得事例となる。

実際に生徒を指導した奈良岡隆樹・森林科学科主任は「取り組みの中で、技術だけでなく多方面で生徒の成長を感じた。今日の生徒たちに点数をつけるなら100点」と話した。また山口章校長は「FSC認証取得の実践経験がある生徒はいわば林業のエリート。社会に出ても、誇りと自覚を持って仕事に就いてほしい」とエールを送った。

FSC認証の取得が実現すれば、実習林の木材をオリ・パラ競技場の建設資材として流通させるアイデアもある。その場合、流通ルートの確保なども生徒が自身で考え、実践するという。経験豊富な「金の卵」たちが成長しつつある。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

オルタナ編集部
好きな食べ物は鯖の味噌煮。