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楽天銀行がLGBT向けに夫婦同様の住宅ローン提供

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楽天銀行は7日、LGBT(性的マイノリティの総称)に配慮した住宅ローンの提供を開始した。法的に婚姻関係を結べない同性カップルでも、夫婦同様に住宅ローンを組むことができる。同様のサービスは7月にみずほ銀行が先行して開始しているが、渋谷区が発行する「パートナーシップ証明書」が必要だった。今回発表された楽天銀行のサービスでは、申し込み時に公的な証明書の提出が不要となっており、より利用しやすくなっている。(オルタナ編集部=沖本啓一)

楽天銀行 大森健一郎・執行役員 サービス高度化本部長

社会でLGBTへの配慮が強まる流れの中で、金融商品においても「夫婦」の枠組みが広がりつつある。みずほ銀行は7月、ローン規定を改定し、同居する2人がマンションを買う場合や、家族の収入を合算してローン審査する場合の「配偶者」に同性パートナーを含めた。続いて今月7日に、楽天銀行がLGBT向けの住宅ローンのサービス提供を開始した。全国の「スーモカウンター新築マンション」を通した、新築マンション購入予定者が対象。

連名ローンの「夫婦」規定は法的根拠なし

「連帯や合算などでローンを組む場合に、婚姻届けを提出済みの夫婦でないといけないということは、法律で決められているわけではありません」

こう話すのは楽天銀行の執行役員サービス高度化本部長・大森健一郎氏。夫婦共有名義のローンを組む審査で「入籍」に拘るのは金融業界の慣習にすぎず、必ずしも「マスト」ではない。LGBT向け住宅ローンでは、多様化する社会の要請に応えて柔軟に対応した。楽天グループはダイバーシティ(人材多様性)推進の一環としてLGBTへの取り組みを継続して行っており、今回のサービスの提供も「自然な流れ」(大森氏)という。

商品としての勝算も必要だ。「スーモカウンターを運営するリクルート住まいカンパニーから、現場での問い合わせ数やニーズが年々増え、無視できない数になっているという相談を受けていました。潜在的な方々も含め、LGBT向けという需要が高まっていることは間違いがありません。リスクをとってもサービスを提供できるという判断です」(大森氏)と需要の拡大も見越している。

楽天銀行はネット銀行のため、窓口を持たない。全国に向けてサービスを発信できる機動性が強みだが、顧客と対面しないという弱点もある。今回の取り組みではスーモカウンターとの連携で弱点を補う。申し込み時には公的なパートナーシップの証明書は不要だが、実際に対面する窓口を通すことで、不正な申し込みの乱発といったリスクを抑制する。

「多様性」は「当然」の時代

一方でLGBTカップルであることの確認について、大森氏は「それほど厳密に追及する必要性は薄い」と話す。金融機関にとって重要な審査はローンに対する支払い能力であり、夫婦であれLGBTカップルであれ、支払い能力さえ確認できれば商品として問題はないというわけだ。

「CSRというほど大袈裟じゃありません。広報目的の企画でもありません。入籍した夫婦に限定していた条件のため金融サービスが届かずに困っている人が社会にいて、私たちがそれを改善できるならすればいい。それでLGBTの方々が生きやすくなるなら、門戸を開けばいいというだけです」と、大森氏は気負いなく話した。

さらに「金融業として、公のサービスを提供しているという意識もあります。今後も機会があればこういった“社会を少し良くする”ようなサービスは提供したい」と続けた。