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AZAPAとリコー、10月から公道で自動運転の共同実証実験

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実験車両の概要

AZAPA(名古屋)とリコー(東京・中央)は19日、公道を使用した自動運転の共同実証実験の開始を発表した。AZAPAの自動車の制御技術と、リコーのカメラによる全方位認識システムが融合した車両が使われる。実験は「近未来技術実証特区」の秋田県仙北市で、10月から来年度にかけて継続的に行われる。過疎地域の労働力不足解消などに向けた自動運転の実用化を目指すほか、周辺状況を認識、共有するシステムは災害対策への応用も考えられている。(オルタナ編集部=沖本啓一)

自動運転は、米国のSAEインターナショナルによって「レベル0(自動運転化なし)」から「レベル5(あらゆる場面での完全自動運転)」まで6段階の規格が定められている。今回の実証実験は「レベル3(条件付き自動運転)」から「レベル4(高度な自動運転)」の過程での、技術的な課題抽出を目的に行われる。

実験では、リコーがカメラ技術による周辺状況の認識、分析を担い、AZAPAがカメラからの情報と連携した自動車の制御システムを担う。使用される電気自動車には5対のステレオカメラ(2台のカメラの視差情報から3次元情報を得るカメラ)と2台の測距センサーが取り付けられる。

実験は10月から開始し、来年春にかけて行われる。冬季をまたいで実験を行うのは、課題洗い出しの重要点として「雪道での走行」が挙げられているため。リコー広報室の中村和歌子氏は「雪道では周辺風景の特徴点が僅かとなり、判別が難しい」と説明する。西日が強い場合なども状況の判別が困難になる。

AZAPAの代表取締役社長&CEOの近藤康弘氏は「完全な自動運転化の実現に向けて、人間とロボットで操作を切り替える技術は不可欠。今回のレベル3から4への移行段階実験は非常に重要」と話す。秋田芸術村の駐車場内で開始し、進捗を見て周辺公道での走行実験に移行する予定。「地域の特性に合わせた課題を抽出することが、労働者不足など今後全国に広がる課題解決につながる。技術イノベーションによる課題解決の現実的なステップとして価値のある実験」(近藤氏)と話した。

同社によれば分析した自動車の周辺状況はクラウドで共有する。例えば自治体と情報を共有すれば、災害時の対策に生かすことが可能。ほかにも物流や医療などへの技術の応用も考えられる。「サステナブルな世界をどう作るのか、今後も積極的に対応する」(近藤氏)と意欲を見せた。

公道を利用した自動運転の実証実験は、仙北市で昨年11月に内閣府とDeNAによる無人バスの運行実験が行われているが、まだ珍しい。また公益財団法人・関西文化学術研究都市推進機構が関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)で、年内に自動運転の走行実験を開始する。パナソニックやオムロンなどが参加予定で、詳細は29日の「京都スマートシティエキスポ2017」で発表される。