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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

日本の購買者の43%、ブランドの社会的姿勢を考慮

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米国の大手PR会社エデルマンの日本法人「エデルマン・ジャパン」は4日、世界14カ国で行った購買者意識調査の結果を発表し、日本の購買者の43%はその商品のブランドが社会的な問題にどう対応しているかを考慮し購買の意思決定を行っていると報告した。世界的には57%だった。同調査によると、企業がブランドに込めている社会的姿勢を意識する購買者は世界的に増加しているという。(オルタナ編集部=小松 遥香)

エデルマンは、世界14カ国の1万4000人に対して意識調査「2017エデルマン・アーンド・ブランド(Edelman Earned Brand 2017)」を実施した。対象の国は、日本のほかに米国やカナダ、ブラジル、メキシコ、中国、シンガポール、インド、オーストラリア、アラブ首長国連邦、英国、フランス、ドイツ、オランダだ。

同調査によると、購買者が自らの信念に基づいてどのブランドの商品を購入するのかを決める傾向はブランドの大小を問わず高まっているという。世界の調査対象者のうち30%は、3年前と比べて、商品購入の際に自身の信念に基づいて購入の決定をするようになったと回答している。日本では17%だった。

調査対象者の関心が高かった社会問題は、世界的には難民・移民問題やジェンダー平等、環境問題、経済政策、人種・民族問題だった。一方で、日本国内では介護負担や孤独死、子どものいじめ、子どもの貧困問題への関心が高かった。

購買行動に至らずとも、企業がブランドに込める社会的姿勢を日頃から意識している「ビリーフ・ドリブンな購買者」は世界14カ国の調査対象者の50%、日本では39%に達するという。

世界のビリーフ・ドリブンな購買者の中で、取り組むべき社会的問題にブランドが無関心な姿勢を示したという理由で商品の購入をやめたと答えた人は65%。日本では53%だった。

世代に注目すると、現在23歳から37歳のミレニアル世代のうち60%はビリーフ・ドリブンな購買者だという。同様に、18歳から22歳のジェネレーションZでは53%、38歳から51歳のジェネレーションXでは51%がビリーフ・ドリブンな購買者だと報告している。

さらに、ビリーフ・ドリブンな購買者が多い地域は、中国やインドなどの新興国だった。中国では73%、インドでは65%がビリーフ・ドリブンな消費者であり、この割合を、実際の人口で考えると、米国やフランスなどの先進国市場の購買層の半数に該当する。

エデルマンは今回の調査結果を受けて、ブランドが社会的問題に対する姿勢を明確に示すことは、現代の購買者の共感を生み、ロイヤリティを高める上で鍵になると分析している。

エデルマン・ジャパンのストラテジー・ディレクターの宮崎陽介氏は、「予想を上回る衝撃的な結果だ。日本の購買者の10人中4人がビリーフ・ドリブンな購買者だ。子どものいじめや虐待、過労死や孤独死、ジェンダーや差別などの社会問題について同じ目線で語り合い、声を上げ、行動を起こすことをブランドに求めている人がこれほど多い。この事実に対し、企業が何も対処せず、今までと同じやり方を続けるならば、近い将来、消費者は離れて行くだろう」と警鐘を鳴らした。

小松 遥香

オルタナ編集部。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。