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キリン、CSVで新たなビール文化の創造へ

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東京・代官山にある「SPRING VALLEY BREWERY TOKYO」


ビジネスパーソンを対象としたキャリア講座「丸の内プラチナ大学」の第2期が開講し、「SDGs(持続可能な開発目標)ビジネスコース」が8月23日に始まった。講師を務めたキリンホールディングスCSV戦略担当の森田裕之主幹は、同社のCSV(共通価値の創造)戦略について講演。ビール消費が頭打ちになるなか、同社は国産ホップを使ったクラフトビールづくりを強化し、生産者の支援と新たなビール文化の創造を目指していくという。(オルタナ編集部=吉田広子)

丸の内プラチナ大学は、自分のキャリアやスキルを見直し、創造性を高め、起業や社会貢献など、参加者の可能性を広げることを目的にしている。エコッツェリア協会、三菱総合研究所プラチナ社会研究会、一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワークから成る丸の内プラチナ大学事務局が主催している。

「SDGsビジネスコース」のほか、「ヨソモノ街おこしコース」「農業ビジネスコース」「観光おもてなしコース」など計7コースある。

「ゲームチェンジが起きている」

キリンホールディングスCSV戦略担当の森田裕之主幹(中央)

キリンホールディングスは2017年2月、キリングループ一体でCSVを推進するために、中長期的に目指す姿をCSVコミットメントとして策定した。それぞれのコミットメントに対し、具体的なアプローチや成果指標を設定している。

策定から約1年前の2016年1月、役員の意見交換会で、本格的にグループ全体でCSVに取り組むことが決まったという。

同社はまず「酒類メーカーとしての責任」としてアルコール関連問題に向き合った。アルコールは、心豊かな生活に貢献する一方で、健康を損なうことも事実だとし、アルコールの有害な摂取の根絶に向けて取り組むこと、ノンアルコール・低アルコール商品の開発や認知向上に努めることにコミットした。

キリンホールディングスCSV戦略担当の森田主幹は、「CSVとして機会や価値を創出するだけではなく、価値を保全するというリスクマネジメントの観点も忘れてはならない」と話す。

キリングループの価値創造の取り組みの一つが、「国産ホップ×クラフトビール」だ。国産ホップの品質向上と安定調達に取り組み、国産ホップならではのビールづくりを行うとともに、生産地域の活性化に取り組むという。

2015年春には、多種多様なクラフトビールを楽しめる店舗「SPRING VALLEY BREWERY(スプリングバレーブルワリー)」を東京・代官山と横浜にオープンした。

森田主幹は、「ビール離れが進むなかで、若い女性がビールを楽しんでくれている。1本約200円の缶ビールとは単価も違う。先にビール離れが進んでいた米国、オーストラリアでも、クラフトビールが主流になりつつある。ゲームチェンジが起き、市場の構造が変わるなかで、いかに戦略的にビジネスチャンスにつなげるか」と話す。

「夢は、国産ホップを海外にも輸出すること。つくったビールを海外の人にも楽しんでほしい。フルーティーで味も良く、収穫もしやすい『MURAKAMI SEVEN(村上セブン)』など、品種開発も進めている」と続けた。

セミナーに登壇したIIHOE(人と組織と地球のための国際研究所)の川北秀人代表は「持続可能性を高めるために、企業は『進化』するしかない。2030年代に向けて、どういうビジネスで稼いでいくのか、長期的な視点で戦略を考えることが必要だ」と語る。

「SDGsビジネスコース」を企画したワタミファーム&エナジーの小出浩平代表は、「SDGsを言葉遊びにしたくない。当事者意識につながるようなプログラムにしていきたい」と意気込んだ。

吉田 広子 (よしだ・ひろこ)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長
大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。

「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。