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東京・吉祥寺の福祉施設雑貨店が、障がい者の働く場に

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東京・吉祥寺にある、福祉施設で作られた雑貨専門のセレクトショップ「マジェルカ」(東京・武蔵野)は、8月1日から店舗を障がい者の働く場とする取り組みを始めた。東京都から障害者就労継続支援事業所として認可を取得し、障がいのある人を雇用する。障がい者が接客することで、彼らが持つ力や可能性、身近な存在であることを示していきたいという。(辻 陽一郎)

障がい者を抱えた方が作った雑貨を集めたセレクトショップ

マジェルカは障がい者の手仕事品を全国の福祉施設から厳選し販売する専門店だ。食器や文房具、バッグ、アクセサリーなど約300点が並ぶ。吉祥寺のおしゃれな雑貨屋の中でも、あまり売っていないものを売っている店として人気がある。8月以降、最低10人ほどの障害者を雇用する予定で、販売接客や商品管理、webショップ運営、商品企画など業務内容は多岐に渡る。

マジェルカ代表の藤本光浩さんは、「障がい者が作る製品を販売することを通じて、理解を世の中に広げてきた。だが、障がい者が作った製品を健常者が売るという構図が『支援する側とされる側』という風に映ってしまう。そこで、もう一歩彼ら彼女らが主役に立つという活動に挑戦したいという考えがあった」と語る。

店内で研修を受ける障がいのあるスタッフ

雇用するのは統合失調症やうつ病といった精神病、発達障がい(主にADHD)や脳梗塞の後遺症としての高次脳機能障がい(身体麻痺)などがある人を予定している。身体障がいや軽度知的障がいの人たちは、一般企業でも受け入れやすく雇用も進んでいる。一方、精神障がい、発達障がいの方は働く機会が少ない現実があるためだ。

もう一つ課題に感じているのは福祉施設の工賃の低さだ。全国の福祉施設では作業に支払われる対価(工賃)の月額平均は15033円(厚労省調査による平成27年度実績)程度しかない。マジェルカでは雇用関係を結ぶため、東京都の最低賃金以上となる。藤本さんは「障がい者がまっとうな賃金を得て働く場を作りたい」という。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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