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コカコーラ、製造時の水使用量と同じ量を自然に還元

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水源保護にボランティアで参加するコカ・コーラシステム社員

コカ・コーラシステムは6月、製品の製造に使用する量と同等量の水を自然に還元する「ウォーター・ニュートラリティー」を達成したと発表した。同社は環境2020年の目標で重点項目として水資源保護を掲げ、実質的な水使用量ゼロを目指し取り組んできた。工場全体での水使用効率を5年間で約29%改善するなど節水技術の進歩や、地域コミュニティらとの連携によって目標達成を前倒しすることができたという。(辻 陽一郎)

水資源不足は世界でも深刻な社会課題であり、世界経済フォーラムが今年1月に発表した「グローバルリスクレポート」では、インパクトが大きなリスクとして「水の危機」を3位にあげた。「大規模な自然災害」よりも高い順位だ。

コカ・コーラシステムは2016年に国内の製品製造に約191億リットルの水を使用した。適切な処理を施して下水道や河川に戻した排水量と水源の調査・保護活動などを通じて自然に水を還元する量の合計が、使用水量を上回ったことで、ウォーター・ニュートラリティーの達成に至った。

工場で洗浄水の代わりにエレクトロンビームという殺菌システムの導入などを実施し、大量削減することができた。最先端の工場では水の再利用も強化している。全国にある工場の水源域で水資源保護活動も実施している。社員がボランティアで参加し、活動を継続的に行っている。

「水の問題に取り組むということは、社会全体が共有する環境問題に取り組むことを意味します。水は究極の共有材であり、私たちはいかなる場所でも使用する水を共有し、水資源保護の責任も共有します」とコカ・コーラシステム広報担当は話した。

ウォーター・ニュートラリティーの目標はグローバルに取り組みを進めている。現在、ブラジル、メキシコ、インド、中国などが100%以上の水の還元を行う。

コカ・コーラシステム以外にも日本の企業ではトヨタや花王などが水問題に取り組んでいる。だが、日本では日常の生活で水問題に危機感が乏しいという課題もある。企業は水の危機に向き合い、限りある水資源をいかに持続可能にできるか積極的な取り組みが求められている。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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