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国内のツナ缶、マグロ調達ルールは未整備―NGO調査

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一本釣りのビンチョウマグロでつくられた、はごろもフーズの「シーチキンフレーク」70gと140g ※「シーチキン」は、はごろもフーズ株式会社の登録商標


国際環境NGOグリーンピースは、ツナ缶の国内メーカーや小売業者の調達方針を調査し、このほど結果を発表した。それによると、回答した15社の商品に「海にも人にもやさしいサステナブル・シーフード」と言い切れるツナ缶は皆無だったという。比較的高い評価を得たのは一本釣りのビンチョウマグロを使用した2社のツナ缶のみで、グリーンピースは、「消費者がスーパーやコンビニに対し、ニーズを伝えていく必要がある」と述べている。(瀬戸内 千代)

日本のスーパーの総菜コーナーやコンビニでは、ツナおにぎりやツナサンドが定番商品となっている。グリーンピース・ジャパンは、メーカー2社と大手小売業者18社を対象にアンケート調査を行い、マグロ類缶詰やパウチの原材料の調達海域と魚種、乱獲や混獲や違法漁業などに加担しないための方針の有無などを聞いた。

その結果、漁法を含む調達ルールを持つ企業は無かった。キハダマグロとカツオは、その8割以上が、資源量が安心なレベルにある中西部太平洋系群だったが、それ以外のキハダマグロは、乱獲状態にあるインド洋系群だった。加工品には「ツナ」と表示され、ツナ缶にも魚種しか表示されないため、消費者は通常、漁獲された海域や漁法を確認できない。

また、スーパーのライフとコンビニのファミリーマートは、絶滅危惧種のメバチマグロの中でも乱獲状態にある中西部太平洋系群を扱っていた。なお、セブンイレブンはキハダマグロやメバチマグロを扱いながら系群や割合を回答せず、ローソンはアンケート全問に無回答だった。

はごろもフーズといなば食品は、2社でツナ缶の国内シェアの7割を占めている。はごろもフーズは、資源量が安心なレベルにある北太平洋のビンチョウマグロ(ビンナガ)を、乱獲や混獲の心配が少ない「一本釣り」で漁獲したツナ缶(写真)を、数量限定で全国販売している。

ただ、両メーカーとも現時点では、ツナ缶の原材料に関する調達方針を持っていない。小売りでは、ヤオコーが一本釣りビンチョウマグロのツナ缶をプライベートブランドで扱っているが、やはり同社にも調達方針は無かった。

瀬戸内 千代 (せとうち・ちよ)

海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。