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トヨタなどが風力源の水素で走るフォークリフトを稼働

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水素製造拠点となった横浜市風力発電所「ハマウィング」

神奈川県やトヨタ自動車らが、自然エネルギーでつくった水素を地域で活用する低炭素なサプライチェーン実証モデルを構築し、7月12日に運用を始めた。「水素社会」を目指す環境省のプロジェクトの一環で、同事業では横浜に吹く風で水素をつくり、京浜臨海部のキリンビール工場などで稼働するフォークリフト12台の燃料とする。化石燃料に依存しない社会に向けて、同モデルの実用化を評価・検討するため、来年度まで運用するという。(瀬戸内 千代)

横浜市風力発電所「ハマウィング」が、蓄電池システムに加え、水を電気分解して発生した水素を圧縮貯蔵するシステムを新たに備えた。約20km圏内にある横浜市中央卸売市場とキリンビール横浜工場、および川崎市のナカムラロジスティクスとニチレイロジグループの物流センターの計4カ所に、豊田自動織機製の燃料電池フォークリフト12台を設置し、実証を進める。

水素残量はクラウド管理され、岩谷産業製の簡易水素充填車が1日1回、水素を届けるという。充填車はガソリンも使用するハイブリッドトラックだが、風力と水素を活用した同サプライチェーンモデル全体の二酸化炭素排出量は、従来の8割減となる見込み。

環境省は「水素社会の実現」を掲げ、特に、自然エネルギーの変動を吸収できる「再エネ水素」の活用を目指している。水素は、大量かつ長期の貯蔵が可能。地域の自然エネルギーや廃棄物など未利用エネルギーで発電し、その電気で水を分解して得た再エネ水素を活用する仕組みがあれば、エネルギーの地産地消や災害時のリスク軽減に役立つ。

今回の「京浜臨海部での燃料電池フォークリフト導入とクリーン水素活用モデル構築実証事業」は、環境省が全国で展開する「地域連携・低炭素水素技術事業」のひとつで、神奈川県、横浜市、川崎市、岩谷産業、東芝、トヨタ自動車、豊田自動織機、トヨタタービンアンドシステム、日本環境技研の9者が参加している。

トヨタ自動車の友山茂樹専務は、同事業に関して、「化石燃料に依存する社会ではなくて、再生可能エネルギー、電気、そして水素を上手に活用した多様なエネルギーから成る社会を検討すべき」と述べた。


瀬戸内 千代 (せとうち・ちよ)

海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。