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宅配ボックス設置で労働時間短縮―パナソニックが実証

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宅配ボックスの設置により、利用者、配達業者双方にメリットが認められた

パナソニックは福井県あわら市と共同で、同市在住の共働き世帯を対象とした「宅配ボックス実証実験」を2016年11月から今年3月まで実施した。6月にまとめた最終結果では、宅配ボックス設置により再配達率が49%から8%に減少し、労働時間は約223時間の削減となった。受取人の不在による再配達が労働環境の悪化やCO2排出量の増加を招くとして社会問題となっているが、同社は実証実験を受けて、6月から新たに宅配ボックス3商品を導入するなど製品による課題解決を目指す。(箕輪 弥生)

ここ5年間で、ネット通販などのEC市場は1.9倍に拡大し、それに伴い宅配便取扱個数も約4.7億個増えているという(経産省及び国土交通省)。そのうち約2割が再配達を余儀なくされている。この再配達による社会的損失は、CO2排出量が約42万トン、ドライバーの労働時間が年間1.8億時間と膨大だ。

パナソニックエコソリューションズ社(門真市)は、宅配BOXを設置することによる再配達削減数の効果検証を福井県あわら市と共同で行った。女性の就労率が全国で最も高い福井県において、あわら市が行う「働く世帯応援プロジェクト」に参画し、106の共働き世帯に宅配ボックスを設置し、前後での再配達の増減を定点観測して検証した。

その結果、再配達率が49%から4ヶ月平均で8%に減少し、それにより、約223時間の労働時間減少、約465.9kgのCO2削減と大きな効果が見られた。また、利用者の荷物受け取りに伴うストレス低減効果もモニター世帯のうち94%に認められた。

あわら市によると、「共働き世帯だけでなく、玄関チャイムの音が聞こえづらい、足が不自由といった高齢者にも大変好評だった」(総務部政策課企画グループ)という。同市ではこの活動を継続させていくために、新たに宅配ボックス購入の補助金を予算化した。

同社広報部は「宅配ホックスが再配達削減の有効な手段の一つであることを証明できた」として、「ポストと同様に、宅配ボックスが1家に1台設置される状態を目指したい」と意欲的だ。

同社は、6月より従来から販売している「宅配ボックス「COMBO(コンボ)」に加え、集合住宅用宅配ボックス「COMBO-Maison(メゾン)」や宅配ボックスとポストを一体型させたデザイン性の高い「COMBO-F(コンボ-エフ)」など3種の新商品を発売した。どの商品も電気を使用せずに伝票へのなつ印もできる。同社は今後、実証実験で分かった大きさや容量に関する課題を解決する製品開発も検討していきたいとしている。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。

http://gogreen.hippy.jp/