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WWFジャパン、小売・卸売業の温暖化対策順位を公表

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再生エネルギー活用を推進するため、イオン店舗に設置された太陽光パネル(copyright/イオン株式会社
  • 「ライフサイクル全体での排出量把握・開示」など評価されイオンが第1位に

世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は6月23日、小売・卸売業54社を対象にした「企業の温暖化対策ランキング」を発表した。環境報告書など公開情報に基づき、取り組みの実効性を評価するプロジェクトで、今回はイオンが1位を獲得した。WWFジャパンは業界に対し「長期目標を掲げ、ライフサイクルで全体で温室効果ガス排出を把握・削減し、再生可能エネルギーを利用拡大することが重要」と指摘している。

WWFジャパンは、生物多様性を損なう地球温暖化を食い止めようと様々な活動を展開している。この「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクトは、経済活動の主役である企業の積極的な温暖化対策を推進する目的で2014年から実施している。これまでに電気機器・輸送用機器・食料品の3業界で同様の評価を実施しており、小売・卸売業は第4弾となる。

今回対象としたのは、日本の証券コード協議会による区分けで小売・卸売業に属する計 54 社。このうち、環境報告書を公開している29社のみを評価可能として精査した。評価指標は21項目にわたり、特に重要な7項目(長期的なビジョン、削減量の単位、省エネルギー目標、再生可能エネルギー目標、総量削減目標の難易度、ライフサイクル全体での排出量把握・開示、第3者による評価)は重み付けしている。

総合点は、イオンが第1位。以下はローソン、日立ハイテクノロジーズ、キヤノンマーケティングジャパンが続いた。

業界の特徴として、自社の温室効果ガスの排出量データに対し、第3者機関による保証を受けている企業の割合は34%(29社中10社)と高めになった。排出量データの信頼性を高める取り組みは「過去の3業種よりも進んでいる」とWWFジャパンでは評価している。

一方、「環境報告書類を発行している企業が少ない」と指摘。今回、環境報告書類を正式に作成していたのは、全54社のうち21社。(さらに8社がアニュアルレポート類を環境省などのガイドラインを参考に作成しているため、計29社が評価対象となっている)。過去に評価を実施した3業種は、9割前後の企業が環境報告書類を作成しており、消費者に比較的近いとされる小売・卸売業界が「環境コミュニケーションに消極的」である一面が浮き彫りとなった。

さらにWWFジャパンでは「長期目標を立て、ライフサイクルを通じた排出削減と再生可能エネルギーの積極活用が求められる」と、小売・卸売業界に提言している。ランキング詳細はウェブサイトで公開している。

宮島 真希子(みやじま・まきこ)

株式会社オルタナ オルタナ編集部。1988年から2010年まで神奈川県内の地方紙に記者として在籍。NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ等複数の非営利組織にてまちづくりに携わる。

オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(エコ・ソーシャル・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。