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パリ協定実施へ、米国と6カ国の姿勢分かれる

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イタリア・シチリア島タオルミナで5月26日から2日間開かれた先進7カ国(G7)首脳会議
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イタリア・シチリア島タオルミナで5月26日から2日間開かれた先進7カ国(G7)首脳会議では、パリ協定実施へ向けて、プロセスの見直しを表明している米国を除く6カ国が決意を新たにした。6カ国はクリーンエネルギーへの移行や途上国の支援について重要性を確認。世界自然保護基金(WWF)は、6カ国のリーダーによって気候変動が世界的な優先課題であることを明確にしたと評価している。

G7首脳宣言では「米国は気候変動及びパリ協定に関する自国の政策を見直すプロセスにあるため、これらの議題についてコンセンサスに参加する立場にない」とまとめられた。2016年伊勢志摩サミットで示された「G7が指導的な役割を担う」という首脳宣言から後退する結果となった。

選挙公約においてパリ協定離脱を明言しているトランプ大統領は、3月に火力発電所のCO2排出規制などの見直しをする大統領令に署名をした。さらに、石炭採掘規制を無効とするなど石炭産業を復活させる計画も掲げている。

一方、ドイツやフランスは環境政策の取り組みを進めている。ドイツのメルケル大統領は昨年CO2排出量を2050年までに80〜95%削減する長期目標を掲げた。フランスでは2015年に原子力発電比率を削減し、自然エネルギーを増やす「エネルギー転換法」を制定。マクロン新大統領はエネルギー政策を引き継ぐ方針を示している。

G7で米国の不透明な姿勢が際立ったが、トランプ大統領の方針には米国内からも反発が強まっている。ナイキやスターバックスなど米国の多くの企業が、トランプ政権に対して「米国の繁栄をリスクにさらすことになる」として、パリ協定残留を求める公開書簡を送っている。

「2度未満」の目標を掲げて温室効果ガス排出削減に取り組む「Science Based Targetss (SBT)イニシアチブ」には、米国のデルやウォルマートなど世界250社以上が参加する。米国の大企業も持続可能な社会構築を目指してパリ協定の目標へ向かう中、トランプ大統領がパリ協定に対して今後、どのような対応をするのか、動向に注目が集まる。

WWFジャパン気候変動・エネルギーグループ長の山岸尚之氏は「G7直後には安部首相からパリ協定について言及がなかったことは残念だったが、今後トランプ大統領へパリ協定に残るように積極的な働きかけを期待している」と話した。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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