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西友が持続可能な漁業目指し「東京湾スズキ漁FIP」開始

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西友は漁業者や国際環境NGOと協力し、持続可能な漁業へ向けた「漁業改善プロジェクト(FIP)」の対象となるスズキの販売を5月から正式に始めた。プロジェクトでは東京湾のスズキ漁が今後も持続できるように、第三者機関の審査や定期的なモニタリングを通じてスズキの適正な生育に配慮した資源管理を行う。西友は通常のスズキと変わらない価格で、関東にある20店舗で販売する。

魚の乱獲や海の環境変化で世界的に水産資源が枯渇している昨今、漁業の持続可能性へ向けた取り組みが求められている。ヨーロッパやアメリカでは「海のエコラベル」と呼ばれる海洋管理協議会(MSC)認証や水産養殖管理協議会(ASC)認証を取得したサステナブルシーフードの需要が高まりつつある。世界の水産漁獲量の14%がMSC認証プログラムに参加しているが、日本国内では、MSC認証を取得しているのは宮城県のカツオとビンナガマグロ漁など3件のみだ。

今回西友らが取り組む「東京湾スズキ漁FIP」は、MSC認証を目指して利害関係にあるステークホルダーが協働し、サステナブルな漁業に取り組むプロジェクトだ。西友と海光物産(千葉県船橋市)、国際環境NGOオーシャン・アウトカムズ(O2:アメリカオレゴン州)、シーフードレガシー(東京・中央)の4社で、2016年11月からプロジェクトを進めてきた。

MSC認証を目指すFIPでは、MSC認証基準に基づき各漁業の現状を審査する事前審査など「FIPガイドライン」に沿って進めていくことが必要となる。2014年には世界で84のFIP事業が実施されている。

西友の早川愛広報担当は「サステナブルな方法で調達した商品を、お求めやすい価格で提供することを目指している」という。プロジェクトの対象となるスズキは5月16日から10月末まで、関東の主要20店舗で販売する。

FIPでは水産者や流通業者などさまざまなステークホルダーが協力することが必要となる。今後、MSC認証を目指すプロジェクトが増えていくことで、日本の食卓にもサステナブルシーフードが広がっていくことが期待される。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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