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三井化学の地中熱利用システム、東京都が採用

施行の様子。熱の移動中にロスをなくすための設計やスペーサー(管同士を接触させないようにする部材)の形状など開発に苦労した

三井化学グループの三井化学産資は、森川鑿泉(さくせん)工業所(本社・大阪摂津市)と「地中熱」を利用した新しい空調施工システムを開発し、「江戸東京たてもの園」(東京・小金井市)の事務棟空調設備に採用された。地中熱利用は米国や欧州、中国で採用が進んでいる自然エネルギーのひとつだ。日本ではまだ普及が進んでいないが、施工コストを従来工法に比べ、30~40%低減することに成功し、東京都での採用が決まったという。(オルタナ編集部=松島 香織)

空調施工システム「Geo-Mex R3」(ジオメックス アールスリー)は、地中の「Geo」、三井の「M」、電気融着(Electro Fusion)から「EX」、Revolutionの「R」、「30」mの浅い深さでも大丈夫、ということから名付けられた。

地中熱交換器を使った地中熱交換井の深度は、1本当たり100m程度が標準とされる。だが、Geo-Mex R3は、三井化学産資が開発した高い熱交換効率を実現する熱交換パイプを用いることで、30mという浅埋(あさまい)でも、十分な熱交換を実現した。その結果、地中熱専用の掘さく機を必要とせず、既存の井戸掘さく機が使用可能となり、掘さく費用のコスト低減につながった。

「浅埋ができるなら、全国のさく井業者も施工が可能で、コストも低減できる。再生可能エネルギーの普及・拡大に向けて、三井化学産資が給水給湯管メーカーとして貢献できる可能性を感じています」と、三井化学コーポレートコミュニケーション部広報グループの松永有理課長は説明した。

地域や天候に影響を受けない地中熱利用は、今後、スマートタウン構想や、ZEB(ゼロエネルギービル)などの実現に向けて期待される、自然再生エネルギーだ。

松永課長は2020年のオリンピック・パラリンピックを見据えて、「競技グラウンドの表面の温度を下げるために地中熱を利用することも検討されていますし、大きな競技場などもサステナブルなレガシーとして存在していくことに意義があると思います。そうした中では、地中熱の利用は一つのソリューションとなり得ると考えます」とコメントした。

Geo-Mex R3の採用は、「江戸東京たてもの園」で2件目になる。今年度中に40件の採用実績を目指すという。

松島 香織 (まつしま・かおり)

株式会社オルタナ 特約記者。
企業のCSRや広報・IR部署を経て、SDGs、働き方改革(ダイバーシティ)、地方創生などをテーマに取材中。