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パーパスの明確化がサステナブルシティへのカギ

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右端からヌイ氏、ヴォンエルフの平松氏、東京急行電鉄の渋谷氏、森ビルの太田氏、司会を務めた足立氏

サステナブル・ブランド国際会議2017東京で、「都市計画はどこまでサステナビリティを追求できるのか?」をテーマにしたセッションが行われた。森ビルや東京急行電鉄の担当者らが登壇し、持続可能なまちづくりについて話した。サステナブルシティへのカギは、都市そのものの「パーパスの明確化」にあった。(オルタナ編集部=池田 真隆)

登壇したのは、森ビルの太田慶太・都市開発本部計画企画部 都市計画3部部長と東京急行電鉄の渋谷宗彦・都市創造本部 運営事業部 営業二部部長、ヴォンエルフの平松宏城・代表、タイ政府の観光アドバイザーのシリクン・ヌイ氏。司会は、同会議のサステナビリティ・プロデューサーの足立直樹氏が務めた。

森ビルの太田氏は、高度経済成長の時代にオフィスを相次いで建設していったが、街から住民がいなくなることを考慮し、オフィスと住居スペースの複合した高層施設の建設に舵を切ったと話した。虎ノ門ヒルズを例にあげ、耐震性、緑地化、省エネなどの持続可能性に配慮した取り組みを紹介した。

東京急行電鉄の渋谷氏は、二子玉川ライズや渋谷ヒカリエなどの運営責任者だ。現在は、渋谷の再開発を担当している。これからの街づくりには多様性が大切と強調し、都市にいながら自然を感じられる、商業施設の中にも衣食住のエリアを備えた施設をつくっている。

ヴォンエルフは、米国グリーンビルディング協会が開発した建物と敷地利用についての持続可能性評価システム「LEED」認証のコンサルティング業務を行う。平松氏は、街づくりにおいても、新旧、大小、用途の多様性を確保しながら、ESGの視点で長期的に都市の価値を維持・発現させていく視点が出てきているとし、都市と地方が交流して、レジリエントな街づくりが必要だと訴えた。

足立氏は、「サステナブルな都市はどこまで実現可能なのか?」と投げかけた。太田氏は、
テクノロジーの進歩で移動手段がセグウェイなどで自動化していくが、電気を節約しないといけないなど、快適さの裏側で我慢しないといけない局面が出てくると答えた。

渋谷氏は街づくりには「住民と共創していくことが不可欠」と話した。施設の名称から外観まで、地元住民と意見交換して、方向性を決めていく時代になったという。さまざまな意見を集約することで、よい施設づくりができると考える。

平松氏は、世界の大都市同様、東京には無理なく安価に住める住宅がほとんどない一方で、首都圏周辺や地方には空き家は数多くある。今後ライフスタイル、ワークスタイルの変化に合わせて二拠点、多拠点で住み、働く人が増えていくことが予想されるとした。それは、住む街、働く街を自分ごととして捉えるきっかけにもなると話した。

3人の話を聞いていたヌイ氏は、「どの計画も素晴らしいが、サステナブルシティにするためには、それらの計画を統合しないといけない」とし、そのためには「都市でKPIを共有して、存在意義を明確にしていくことが大切」と、街づくりにもパーパスブランディングが有効だと語気を強めた。

池田 真隆 (いけだ・まさたか)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナS編集長
1989年東京都生まれ。立教大学文学部文芸思想学科卒業。大学3年から「オルタナS」に特派員・インターンとして参画する。その後、編集長に就任し現在に至る。オルタナSの編集及び執筆、管理全般を担当。企業やNPOなどとの共同企画などを担当している。
「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。