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竹を有効活用ーバイオ燃料に転換する技術を日立が開発

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放置竹林は生物多様性への影響が大きい

日立製作所は、これまで燃料には不向きとされていた竹を発電用の木質バイオマス燃料に利用する技術を開発した。竹は成長力が旺盛で、放置されるとたちまち森林などに侵食し枯死させることから、伐採した竹を資源として有効活用する技術開発が課題となっている。同社はこのほど、燃料として使用する際に阻害要因となる竹のカリウムと塩素を除去することに成功。同時に、溶出した成分を植物育成剤として利用できることも確認した。(箕輪 弥生)

竹林を放置すると周囲の森林に竹が侵入して植生を破壊することがあり「竹害」として大きな問題となっている。国内の竹林の面積は林野庁によると16.1万haと広大だ。竹は紙類や繊維など製品としての活用は進んでいたが、バイオマス燃料としての活用においても技術革新が進み実用化への目途が見えてきた。

<伐採から収集の予想図>人の手間をかけていた竹の枝払いを機械化し、オンサイトでチップ化する

日立製作所は、竹のもつカリウムや塩素が、バイオ燃料として燃焼した際にボイラーなどの燃焼機器に負担をかけるという課題を、竹を微粒化し水に浸しカリウムと塩素を溶出させることで解決した。

この結果、継続的に高温で燃焼させることが可能となり、木質バイオマス燃料と同様に扱える。この技術は、孟宗竹だけでなく、真竹、淡竹、笹や雑草類にも応用できる。

同社は、福岡県八女市と北九州市の協力を得て、2年間にわたり同技術の開発を進めてきた。菅澤貢・電力ビジネスユニット発電事業部火力本部 室長は、「植物のカリウムに関する文献が少なく、手探りで開発したこと」に最も苦心したという。

燃料に加工する際に出る竹からの抽出液を、植物育成剤としても利用できることから「竹をバイオマス燃料に改質しつつ、植物育成剤としても有効活用することで、持続可能なバイオマス再生循環を形成したい」と菅澤室長は話す。

同社が開発した技術は竹の伐採収集にも及ぶ。一般的な竹の収集では、竹の枝払いが機械化できず手間がかかり、それが原料コストを引き上げていた。しかし同社では重機により竹の伐採を行い、竹専用細断機で細断し、気流搬送によりバキュームカーで収集する方法を生み出した。これにより収集コストも3分の1から5分の1程度低減できると推定している。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。

http://gogreen.hippy.jp/