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「職場で差別的な発言を聞いた」約7割―LGBT調査

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調査結果を説明する、宝塚大学看護学部の日高庸晴教授(3月23日、都内にて)

ライフネット生命は3月23日、「LGBT当事者意識調査」の結果を発表した。国内在住で10歳から94歳の回答15,064件について、LGBT分類や年代、居住地域など詳細に区分し分析した。LGBT当事者の約6割が学校でのいじめ被害を経験、「LGBTフレンドリーな会社の商品をより積極的に購入する」という回答が6割以上あった。回答の年代層が幅広く、学校教育の重要性や都市部と地方との地域差が出るなど、課題が浮き彫りになった。(オルタナ編集部=松島 香織)

ライフネット生命は、業界でいち早く2015年10月に同性パートナーを死亡保険金の受取人に指定するサービスを開始した。

2017年1月現在、第一生命やアフラックなど13社(ライフネット調べ)が同様のサービスを取り扱っているが、本調査の「死亡保険の受取人に同性パートナーを指定可能にしている会社を知っているか」という設問で、約4割がライフネット生命を挙げ、認知度が高くなっている。

学校教育で「同性愛について一切習っていない」という回答が約7割あり、その上「異常なものとして習った」「否定的な情報を得た」という回答が25.9%あった。調査を行った宝塚大学看護学部の日高庸晴教授は、「『当事者はいない』という思い込みで、先生が失言してしまうことがある」と、学校教育の大切さや、教師の理解・意識改革を求めた。

調査の背景について説明する、森亮介・執行役員 経営戦略本部長(3月23日、都内にて)

セクシャルマイノリティ―にフレンドリーな会社の商品購買意欲は、特に、レズビアン、バイセクシャルの女性、身体の性は女性のXジェンダーが高く、日高教授は「これほどニースがはっきり出るとは思っていなかった」と話した。

職場環境では7割以上が「差別的な発言を聞いた」としている。沖縄県がもっとも回答が少なく69.4%、多くても近畿地方が73.2%と地域的な差はなかった。自分の職場や学校について「フレンドリーだと思う」と答えたのは3割に満たない。

「大企業がいろいろと取り組みを始めてきて、良い流れにはなってきている。だが、都市部と地方では意識の違いがあり、地方の自治体や学校には、LGBTはいないと思っている人がいる。地方や中小企業にLGBTの理解を広げていくことが重要」と締めくくった。

ライフネット生命の森亮介・執行役員 経営戦略本部長は、業界でいち早く同性パートナーを死亡保険金の受取人に指定可能にしたことについて、「現在は10社以上が取り扱っているが、一石を投じることができた」と振り返った。

「時代に合った多様な生き方を尊重し、性的マイノリティーの方にもフェアな企業でありたい。今回の調査では、『資産を大切な人に残したい』という純粋な気持ちを、数字として確認することができた。調査は継続し、理解を深めていきたい」と話した。

松島 香織 (まつしま・かおり)

サステナブルブランド・ジャパン デスク 記者、編集担当。
アパレルメーカー(販売企画)、建設コンサルタント(河川事業)、
自動車メーカー(CSR部署)、精密機器メーカー(IR/広報部署)等を経て、現職。