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ダム放流量を活用した発電所で基金を設立、地域に貢献

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多目的ダムに導入した有田川町営の二川小水力発電所(2016年8月)

和歌山県有田川町は、県営の多目的ダムに維持放流量を活用した町営の水力発電所を導入し、平成28年度新エネ大賞の資源エネルギー庁長官賞を受賞した。資源ごみの収集業務を有料化し、業者から得た収益を積み立てるなどして建設費を捻出した。発電した電力は関西電力に売電し、売電益は「有田川エコプロジェクト」の事業や、小中学校の環境教育に充てている。全国に例がない町営の発電所で、先行事例として高く評価された。(オルタナ編集部=松島 香織)

資源ゴミ収集を有料化することができたのは、自治会や住民の意識の高さや長年の取り組みからきている。20年くらい前からごみの衛生面や、収集の効率化が問題になっていたが、平成10年にごみ集積所を完全にステーション化した。扉が閉まるコンテナにし、動物に荒らされたり、雨水に濡れることがなくなり衛生面は改善された。

分別については、集会へ出向いて説明会を開くなどして協力を求めた。平成20年以降はごみの分別を徹底し、収集業者が逆に購入したいと思うほど、ごみの質が高くなった。現在では、ごみ収集業務は入札制にしているという。

売電益や資源ゴミの分別徹底で削減できた費用などを基金にし、コンポストの無料貸与や生ごみ処理器の購入補助制度、太陽光発電や太陽熱利用の設置補助に活用して、住民の取り組みを支援している。

有田川町環境衛生課の上野山友之主事は「有田川町には長年、官民連携でエコプロジェクトを推進してきた自負があります。温暖化対策のひとつとして、再生エネルギーに取り組んでいますが、それは地域活性のひとつの要素で、コミュニティに貢献することが一番重要です」と話した。

松島 香織 (まつしま・かおり)

サステナブルブランド・ジャパン デスク 記者、編集担当。
アパレルメーカー(販売企画)、建設コンサルタント(河川事業)、
自動車メーカー(CSR部署)、精密機器メーカー(IR/広報部署)等を経て、現職。