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熊本の幻の大豆を使った定食、渋谷ヒカリエで限定販売

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「熊本県水増集落 八天狗定食」の販売初日に来店したくまモンと水増集落の女性たち

熊本県の限界集落で見つかった在来種大豆「八天狗(はちてんぐ)」を使った定食が東京にお目見えした。渋谷ヒカリエの「d47(ディーヨンナナ)食堂」が、2月15日までの限定メニューで提供する。初日の1月17日には、郷土料理を指導した集落の女性たちが来店し、くまモンを囲んで試食をした。(瀬戸内 千代)

800年前から山伏が水増(みずまさり)集落で食べていたといわれる「坐禅豆(ざぜまめ)」や、ハレの日の鶏汁、熊本地震で被災したマルキン食品(熊本市)製の納豆、地元野菜の酢味噌あえなど、八天狗をふんだんに使った定食は、税込み1550円。ランチとディナーで1日30食限定で提供する。

水増は、熊本空港から車で約1時間の上益城郡山都町(やまとちょう)にある。平均年齢73歳の18人が暮らす限界集落だが、地元企業のソーラー事業をきっかけに、大学生との交流が始まっている。

育てやすい改良種が全国に広がる中、水増で八天狗と呼ばれ、細々と栽培されていた大豆は、一般的なものより少し小粒で、甘みがある。

その味を気に入った農林水産省の職員がゲノム解析をした結果、データベース未記載の在来種であることが判明した。水増は2015年から八天狗の作付面積を拡大し、下関市立大学の学生らの協力を得て栽培し、2016年の秋には600キログラムの収穫があった。

農水省の情報発信を受けて取材に訪れた、環境ジャーナリストで東京都市大学環境学部の枝廣淳子教授も、2015年以降、ゼミ合宿を水増で実施するようになった。

東急グループの渋谷ヒカリエでの今回の定食販売は、同学部と産学連携協定を結んでいる東急エージェンシープロミックス内の社会課題解決専門ユニット「POZI(ポジ)」との協働で実現した。

農水省が水増集落に注目するきっかけを作ったのは、2014年から同地でソーラー事業を営み、売電収益の一部で地域おこしに取り組む、テイクエナジーコーポレーション(熊本県菊池郡菊陽町)だ。

同社の竹元茂一会長は、「ソーラーの売電収益は、国民の税金とお天道様の恵みで成り立っている。だから、地域に還元するのが当たり前」と語った。

瀬戸内 千代 (せとうち・ちよ)

海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。