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清水建設がビオトープで生物多様性の取り組み

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研究所内のビオトープには多様な生物が生息している

清水建設は、技術研究所内につくった都市型の大規模ビオトープ(生物の生息空間)で10年間にわたり生物相や植生環境をモニタリングした。その結果、人工的な緑地が生物生息環境を着実に形成し、生物多様性を高めることを確認したと発表した。ビオトープによる生物多様性保全はLEED(グリーンビル認証)などで重要な評価項目の一つとなっており、同社はビオトープの建設ノウハウを今後の都市型案件に生かしていく方針だ。

技術研究所(東京・江東区)内にあるビオトープ「再生の杜」は、2006年4月に建設された。竣工後3年間は7、8人の研究員が草刈りによる管理を行い、適切な草刈りの方法や時期、頻度などについて検討を行った。以降は業者とともに、経年的な希少種の生育状況の変化や外来種の生育など植生の遷移に注意しながら管理しているという。

今年6月には4羽のヒナが生まれた

資源の再生や循環利用にも注力し、浮島には廃タイヤを使用している。タイヤの加硫促進剤として含まれている亜鉛の溶出が懸念されるが、「2015年に行った3か所、各3回の池水の分析結果では、亜鉛濃度は定量下限値0.01mg/L未満でした」と技術研究所 技術広報グループの高木健治さんは説明する。環境省の「水質汚濁に係る環境基準」では、0.03mg/L以下が望ましい値だとしている。

クヌギ、イロハモミジなどの落葉高木や、常緑広葉樹のスダジイなどが植えられたビオトープにはハイタカやカワセミなどの鳥が飛来。浮島には2007年4月からカルガモの営巣が確認され、今年の6月にもヒナが誕生している。

小学生の「環境教育」受け入れにも積極的に取り組み、約1400人の小学生が見学や実習で訪れている。「都市の中でもいろいろな生き物を観察できることや自然の大切さについて、分かりやすく学習できたと多くの感想が寄せられています」(高木さん)。

建物や敷地の環境性能の評価認証には、CASBEE(建築環境総合性能評価)、LEED(グリーンビル認証)、ABINC(いきもの共生事業所認証)などがある。ビオトープによる生物多様性保全は、重要な評価項目の一つになっている。

同社は「再生の杜」のノウハウを生かし設置を提案。マンションや工場、学校、医療施設、オフィス、商業施設など、年に1、2件程度の案件があるという。

松島 香織 (まつしま・かおり)

サステナブルブランド・ジャパン デスク 記者、編集担当。
アパレルメーカー(販売企画)、建設コンサルタント(河川事業)、
自動車メーカー(CSR部署)、精密機器メーカー(IR/広報部署)等を経て、現職。