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カゴメなどが災害時用に備蓄食品を改良、栄養価高める

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杉田エースIZAMESHIシリーズ

カゴメや杉田エース(東京・墨田)は、栄養バランスを考慮しておいしく食べられるように改良した備蓄食品の販売を始めた。長期保存が可能な野菜ジュースや、五目ご飯、豚汁などを揃え、災害時に不足しがちな野菜を摂ることができる点が特徴。これまでの備蓄食品とは異なり、日常的においしく食べられる食品を継ぎ足しながら保存する「ローリングストック」という視点を取り入れている。

東日本大震災や熊本地震では食料不足が問題となったことで、食料を備蓄しておくことの重要性が浮き彫りになっている。しかし、備蓄食料は栄養バランスが悪い、味が普段食べる食事と比べおいしくないなどの課題もある。防災への関心が高まる中、備蓄食料を販売する企業は、さまざまな改良を加えた新商品を打ち出している。

カゴメは災害時の食料の野菜不足を補うため、「野菜一日これ一本長期保存用」と「野菜たっぷりスープ」がセットになった野菜の保存食セットの販売を始めている。野菜類は傷みやすいため備蓄用品に向かないが、野菜セットならば3年6か月と長期保存も可能だ。野菜ジュースからは30品目の野菜を350g摂取することができる。

杉田エースが注目しているのはおいしさだ。もともと防災用品を扱っていたが、食品は扱っていなかった。防災食品を開発するにあたり、味へのこだわりを重視した。杉田エース営業企画グループの谷山智士さんは「非常時には子どもが備蓄食に食べ飽きてしまうことがある。おいしいものを食べれば元気になるので、味にこだわっている」と語った。

杉田エースが販売するIZAMESHIシリーズは、「食べる長期保存食」と銘打っている。賞味期限まで備蓄するのではなく、キャンプのときや病気になったときなど日常的に使用することを提案している。

食べない備蓄食料を特別にそろえておくのではなく、普段から食べられる備蓄食料を買い、食べたらその分を買い足すという「ローリングストック」という考えも広がりを見せている。この方法をとると、賞味期限切れによる廃棄の心配もなくなる。

体力が落ちる災害時には食事は重要な役割をもつ。栄養バランスを考えた、おいしく食べられる食事のためにも今後の備蓄食料市場に注目が集まる。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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