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GPIFが非人道兵器製造企業に投融資、NGOが告発

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欧米では非人道兵器製造企業へ投融資の停止や制限を表明 Image credit:Bill McElligott

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)などのNGO3団体は、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、非人道兵器を製造する企業14社へ投融資を行っている実態を合同で調査、発表した。同NGOは、国内の銀行に対して非人道兵器製造企業への投融資禁止の方針策定を求めている。企業の社会的責任に基づいた投融資の内実が今後ますます問われてくることになりそうだ。

無差別に民間人を含む多数の人の命を奪う核兵器やクラスター兵器は非人道兵器と言われている。クラスター兵器の使用、製造、保有などは、日本も批准する「クラスター爆弾禁止条約」によって国際的に禁止されている。2016 年6月時点で批准国は100ヶ国だ。

JACSESなど3団体は、国内大手銀行の社会性を格付けする投融資基準評価サイト「フェアファイナンスガイドジャパン」を運営し、兵器製造や気候変動など15テーマから銀行を調査し、レポートを公開している。7月にGPIFを調査したところ、核兵器・クラスター兵器を製造する企業14社の株式約3873億円、債券約15億円を保有していることが明らかになった。

サイトでは、日本の4つの銀行グループが核兵器・クラスター兵器製造企業25社に投融資した額が136 億 6900 万ドル(約1.4 兆円)に上るとも公表している。25社の企業のうち、19社がアメリカ企業だ。調査対象となったのは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、みずほFG、三井住友FG、三井住友トラストホールディングスだ。

JACSESの田辺有輝氏は、「銀行は、核兵器やクラスター兵器を製造する企業への投融資禁止を表明すべき」と提言している。ヨーロッパでは、非人道兵器製造企業への投融資の停止や制限を表明する企業が増加している。イタリアの倫理銀行、イギリスの協同組合銀行などは、核兵器に関わる企業への投融資を行わないという方針を掲げている。

だが現実は、社会的責任を元に投資先を選ぶ銀行が増える一方で、企業の利益を優先して新規参入する銀行もある。今後、非人道兵器による悲惨な殺りくを引き起こさないためにも、銀行には投融資先を見直していくことが求められている。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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