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ユニセフ「乳幼児7千万人が貧困などで命を落とす」

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ナイジェリア・アブジャに住む少年。1990年当時、サブサハラアフリカでは5歳を迎えずに亡くなる割合が高所得国に比べ12倍に上った(C)UNICEF/UN016263/Gilbertson VII

ユニセフ(国連児童基金)は6月28日、『世界子供白書2016』を発表した。白書では、世界が子どもたちの窮状にもっと関心を向けなければ、「持続可能な開発目標の到達年である2030年までに、約7千万人の乳幼児が命を落とし、1億6700万人の子どもたちが貧困下で暮らし、7億5000万人の子どもたちが児童婚をする」と指摘している。

ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は「何百万人もの子どもたちの人生に公平な機会を提供できないということは、彼ら自身の将来を危うくするだけでなく、世代を超えて繰り返される不利な立場の連鎖の継続に油を注ぐことになる。それは彼らの社会の将来を危うくする」と訴える。

白書では、子どもたちの就学や貧困からの脱却など、大きな進歩があったことを記している。5歳未満児死亡率は、世界的には1990年から半分以下となり、129カ国で男女が同等に学校に通うようになった。世界の極度の貧困に苦しむ人の数は1990年代の半数程度に減少しているという。

一方、「この進歩は平等でも公正でもない」とも指摘する。最も貧しい子どもたちは、最も裕福な子どもたちと比較すると5歳の誕生日を迎えずに亡くなる可能性は2倍に上り、さらには慢性的な栄養不良に陥りやすい状況だという。

白書では、南アジアやサハラ以南のアフリカの大半では、教育を受けていない母親のもとに生まれた子どもたちは、中等教育を修了した母親のもとに生まれた子どもに比べると5歳未満で亡くなる可能性は2倍に上る、と報告している。

さらに、最も貧しい世帯の女の子は、最も裕福な世帯の女の子と比較すると、幼くして結婚する割合は2.5倍にも上るという。

■ 1億2400万人の子どもが学校に通えず

ユニセフは、「2011年以降、学校に行ってない子どもの数は増加し、学校に通っている子どもの相当な割合が学習していない」と指摘。現在も1億2400万人の子どもたちが小学校や中学校に通えず、学校を終えたほぼ5人に2人は読んだり書いたり、簡単な算数をすることができないという。

白書では、「現金給付は、子どもたちが学校に長く通うことや、次のレベルの教育課程への進学に役立つ。平均すると、子どもが教育を受ける期間が1年延びるごとに、大人になってからの収入が約10パーセント増加する。

また、国の若者による学校教育履修期間の平均が1年長くなるごとに、その国の貧困率は9パーセント低下する」として、企業や国際社会に対し支援の重要性を訴えている。

日本語版『世界子供白書2016』は、日本ユニセフ協会から8月末に発行される予定だ。

吉田 広子 (よしだ・ひろこ)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長
大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。

「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。