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三陽商会が和綿を初めて製品化、柔らかなストールに

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和綿20キロと洋綿70キロからでき上がったストール
(写真は三陽商会提供)

アパレル大手の三陽商会が、国内でいったん廃れた「和綿」を復活させるプロジェクトを展開している。2013年から栽培を始め、このほど3年間の収穫分30キロの和綿を使ったストールを製品化した。7月24日まで、同社の銀座ショールームで展示販売をしている。(オルタナ編集長・森 摂)

和綿は江戸・元禄期に本格的な栽培が始まり、作務衣、ふとん、半纏(はんてん)などに使われていた。だが、繊維が短くて太いため、日本の高温多湿に合うものの、シャツやシーツなどには適していないため、明治後期には米国などの綿に押されて廃れてしまった。

現在、日本に和綿の農家は栃木県や千葉県などに5-6軒しかないという。そのうちの渡良瀬エコビレッジ(栃木県)では40粒の種から和綿を育てることに成功した。2016年には三陽商会との協働プロジェクト「Watatsumugi(わたつむぎ)」が始まった。

2013年春から栽培が始まった。300坪(1000平方メートル)の畑を借り、種を撒いて、草取り、間引きを経て10月末に収穫する。社員30人くらいがバスに乗り、日帰りで作業する。

「アパレル企業の社員といえども、コットン栽培の畑にまで行くのはめったにない。社員のモチベーションアップにもつながった」とCSR担当の西野祐子氏は振り返る。

業界で「綿の博士」と呼ばれる大正紡績(大阪府阪南市)の近藤健一繊維事業部長・東京営業所長から指南を受け、和綿とインド綿・ペルー綿を横糸に、米国の「スーピマ綿」を縦糸にして、「夏涼しく、冬暖かいストール」を目指した。

和綿を織ったのは土田隆夫さん(85歳)。兵庫県多可町に住むキャリア60年の織物職人だ。染めたのは「BUAISOU製藍所」(徳島県上板町)の20代の若者たち7人のチームだった。

和綿20キロと洋綿70キロからストールが220本でき上がった。サイズは2メートル×90センチ。価格は「生成り」が17000円、「先染め」(横糸だけ染める)が25000円、「製品染」が25000円。7月24日まで、同社の三陽銀座タワーで展示販売している。