トヨタ、IUCNレッドリストに5年間の支援を発表
左)調印式でのIUCN アンダーセン事務局長
右)トヨタ自動車ルロワ副社長 |
トヨタは5月10日、生物多様性保全に必要な知見の拡充に貢献するため、2020年までIUCNと協働することを発表した。2016年は「IUCNレッドリスト」の強化に対して約120万ドルを助成。今後5年間、同レベルの支援を続ける。
IUCN(国際自然保護連合)は、野生生物の絶滅リスクを種ごとに評価し、「IUCNレッドリスト(正式名称:IUCN絶滅のおそれのある生物種のレッドリスト」を作成している。その作成には、アセスメント(個々の種についてデータや科学論文を集め、専門家たちが議論し評価する作業)が欠かせない。
地球上の全生物の種数は把握できておらず、一説には180万種以上と言われている。これまでにIUCNがアセスメントを終えた約8万種のうち、2万3000種以上が絶滅の危機に直面していた。IUCNは、これからの5年間で、新たな2万8000種以上について、アセスメントを実施予定だ。
新たなアセスメントは、食料の確保や産業など人間生活にとって重要な生物種や、生態系の指標となる種に的を絞る。例えば、穀物の品種改良に必要な遺伝資源であるイネ科植物などを対象とする。また、IUCNは、トヨタの支援を活用して、レッドリストのデータベース閲覧サイトも刷新していく。
現在、地球では、過去5回起きた大量絶滅を上回るスピードで、生物種の絶滅が進行している。トヨタは、プリウスや燃料電池自動車MIRAIを発売し、排出ガス問題への対応を推進してきた。今回、生物多様性条約の「愛知目標」の2020年達成が厳しい現状を受けて、生物多様性の問題にも着手した。
トヨタは、2015年10月に「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表。今回のプロジェクトは、6つのチャレンジのひとつ、「人と自然が共生する未来づくりにチャレンジする」の一環でもある。トヨタは今後、IUCNとの協働を皮切りに、他機関との自然保全プロジェクトも検討する方針を示した。