飲食店予約アプリ「テーブルクロス」、途上国の給食支援
バングラディシュのムングラ小学校で給食を待つ子どもたち
|
レストランの予約で使うと、売上高の一部が途上国の子どもたちの給食費に寄付される社会貢献型アプリ「テーブルクロス」は、起業から1年で5千食以上の給食の提供を行った。支援先はカンボジア、フィリピンなど60カ国以上。飲食店が支払う広告費の一部で現地のNPOに寄付し、子どもたちに給食が届く仕組み。立教大学在学中にこのシステムを開発し、事業を行うのは城宝薫さん。その若さと行動力も話題だ。
飲食店の予約でアプリ「テーブルクロス」を通じて行うと、飲食店から1人180円の広告費が支払われる。その中から途上国の子どもたちへの1食分の給食費に相当する費用を寄付する仕組みだ。ユーザーには負担は掛からない。
同アプリをダウンロードしたユーザーはこれまでに5万人、加盟店は全国で1万店を超えた。国連WFP(国連食糧計画)をはじめ現地の教育支援を行うNPO法人を通じて子どもたちに給食を届ける。
起業するなら利益創出と同時に社会的課題の解決もできる事業をしたいと思っていたという城宝さん。その思いは高校生の時に米国・フロリダで現地のNPO法人を視察した時からだという。
「NPOというとボランティア主体と思っていたのですが、米国では事業を継続するためにはNPOでさえもきちんと利益も生むべきという考えが広まっていました」と振り返る。
そのギャップに驚きながらも、社会貢献と利益創造を同時に追求することの重要性を実感した城宝さんは、大学在学中に飲食店の広告を販売するアルバイトをする中で、2つの課題を同時に解決する事業として現サービスを発案し形にした。テーブルクロス(東京・四谷)の起業だ。
事業活動を通じて利益の創出と社会的な課題を解決していく手法がCSV(Creating Shared Value)と呼ばれることは、起業後に知ったという。
若さとCSVの仕組みが話題となり、この1年で呼ばれた講演は50ケ所以上に達した。
「支援する学校や施設にはたくさんの子どもたちが給食を待っています」。支援がスタートして1年だが、まだまだ提供できる給食の数が足りていないと言う城宝さん。
今後は企業へのアピールを強め、CSR(企業の社会的責任/社会対応力)の一環として、さまざまな社内の行事や親睦のための飲食店予約に、同アプリを使ってもらえるキャンペーンを行う意向だ。