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消費者の「修理する権利」守れ:米国や欧州で動き急

EU加盟国の代表が、修理しやすい冷蔵庫の生産をメーカーに義務づける法律についての検討・投票を行った際、「修理する権利」を求める人たちがデモを行った
© iFixit (CC BY-NC-SA 3.0)

米国や欧州で「修理する権利」を守ろうという動きが活発化している。電化製品などのメーカーに、消費者や技師が修理を行う権利を認めさせ、修理に必要な情報開示を求める。米国18州では同権利が立法化され、それが他州や欧州に波及。EUでは修理しやすい製品の生産を家電メーカーに義務づける法律が2021年4月に発効する。商品が長もちすれば、ごみの量が減り、新しい製品生産に伴う温室効果ガスの抑制も可能にする。(クローディアー真理)

「修理する権利」運動が盛り上がりを見せているのは、消費者のフラストレーションが高じた結果だ。家庭電化製品をはじめ、市場に出回る商品の多くが組み立てに接着剤を使用するなどし、開けることができない。開けられても修理に必要な部品もマニュアルも手に入らず、修理不可能だ。そこで買い直さなくてはならなくなる。

英国のリペア・カフェでの活動の様子
© Karen Blakeman

こうした状況に業を煮やした市民が集まるのが、「リペア・カフェ」だ。カフェで皆で知恵を絞り、修理を試みる。欧州、英国、米国、カナダ、オーストラリアで活況を呈している。「修理する権利」運動を牽引するグローバルリペアコミュニティ、iFixit(本社・米国カリフォルニア州)などのウェブサイト上には各種製品の修理方法が公開され、情報交換も行われている(日本語サイトはこちら)。

運動に拍車がかかったのは、2012年、米国で自動車を修理するための情報をメーカー側が修理技師やオーナーに公開しなくてはならない法律が立法化されてからだ。消費者向け電化製品にも同様の法律を求める声が上がった。

しかしメーカー側はこの動きに対し、否定的だ。知識のない一般人が修理すれば、製品がさらに壊れたり、使用するのが危険になったりすると指摘する。さらに製品のイノベーションの妨げになる点、製品構造についての情報が外部にもれる点を問題視している。

2021年4月にEUで発効する、修理しやすい製品の生産をメーカーに義務づける法律は、照明器具、洗濯機、冷蔵庫などが対象だ。簡単な問題であれば一般市民が対処できるよう、メーカー側は部品の保有期間を7年まで延長する。修理技師には修理マニュアルも提供する。

一般的に平均寿命が20カ月といわれている携帯電話。修理して使い続けたいと考える人は多い
© Drapplesi (CC BY-SA 3.0)

このEUの法律導入は市民や運動家の間では「一歩前進」と見なされている。今後は対象製品をコンピュータや携帯電話などにまで拡大し、技師だけでなく、一般人にも修理マニュアルを公開することを求めていく。

オーストリア連邦環境省が、5年以内に故障した家電製品の割合を2004年から2012年まで追った結果、3.5%から8.3%に上昇していることがわかったそうだ。またEUが2014年に行った調査では、手持ちの商品が壊れた際、新しく買い直すより修理したいと考える市民が77%にも及ぶことが判明している。

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クローディアー真理

ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。