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「セクシュアリティで差別しない」企業は発信を

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講師を務めた齋藤敦社長は、LGBT特有の取り組みの難しさとして、「外見で判断できない」「定義ができない」ことなどを挙げた

LGBTダイバーシティ推進支援を行う、Nijiリクルーティング(東京・港区、齋藤敦社長)は、3月24日都内で、これからLGBTダイバーシティの取り組みを行う企業を対象に、事例を紹介するセミナーを開いた。同社は2月にソニーや日本航空、三井化学など20社が参加した「LGBT-Allyシンポジウム」を開催。シンポジウムで出た課題や、各企業の具体的な取り組み内容、取り組みを始めたことによる社内外の反応・効果などを紹介した。(オルタナ編集部=松島 香織)

講師を務めたNijiリクルーティングの齋藤敦社長は、企業がLGBTダイバーシティに取り組む理由として、「社会的要請(CSR・コンプライアンス)」「人材戦略」「マーケティング」の3つを挙げた。

LGBTは人口の8%(LGBT総合研究所データ)に当たると言われており、就活生50万人のうち、約4万人くらいが該当すると考えられる。少子高齢化で労働人口が減少する中、企業は優秀な人材確保と同時に、社員ひとり一人が、やりがいをもって働くことができる職場環境を整備することが必要だ。

LGBTダイバーシティ推進のポイントは「知る」「伝える」「聞く」「整える」だ。LGBTの正しい知識を得たり、理解するためには社内研修が必要になる。齋藤社長は、日本での左利きの割合が11.5%であることを例にし、「そのくらいの感覚でLGBTを理解してほしい」と話した。

「第2回LGBT-Allyシンポジウム」の様子(2017年2月23日、Nijiリクルーティングセミナールームで)

企業から「セクシュアリティで差別しない」ことを発信することも重要だ。自社アンケートや「LGBT意識行動調査2016」(LGBT総合研究所)から、企業ではLGBTフレンドリーであることの発信は重要で無いと考えているが、当事者にとっては重要であることが分かった。「企業はもっと、LGBTフレンドリー、アライ(支援者)であることを発信すべき」と齋藤社長は、力を込めた。

同性パートナー制度導入の事例として、スターバックス コーヒー ジャパンを紹介した。登録制度は2017年1月1月から開始し、4名の申請があったという。きっかけはアルバイトから社員へ登用する際にLGBT当事者から申請があったからだという。

米国本社では既に同性パートナー制度の規定があり、申請者は日本でも制度があると思い申請したそうだ。スターバックス コーヒー ジャパンは、就業規則などの変更や社員への理解を得るため、導入に1年かけたという。

申請は20歳以上に制限しているが、法律的に婚姻できない人の不公平感を補うことを目的としているため、第三者による証明書は不要としている。また申請者とは必ず面談を行い、制度への理解を確認しているという。

LGBTダイバーシティ推進のゴールは「働きやすい環境をつくること」だ。齋藤社長は、「LGBTから、ほかのダイバーシティへの取り組みが進むことがあります。一過性の取り組みにせず、アライを広める活動を社内でぜひ推進してください」と締めくくった。

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松島 香織 (まつしま・かおり)

企業のCSRや広報・IR部署を経て、SDGs、働き方改革(ダイバーシティ)、地方創生などをテーマに取材中。