![]() 学生が提案した企画を社員が厳しい目で評価する
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ユニリーバ・ジャパン(東京・目黒)は、中高生を対象にサステナビリティに関するワークショップを開催している。次世代を担う学生に「食を通して環境に配慮する」ことを考え、実践してもらうことが狙い。ワークショップは7月末から11月上旬まで約3カ月かけて開かれ、学生が考えたアクションプランを最終的に報告会で成果を発表してもらう。優れた取り組みには賞を授与する。(オルタナ編集部=小松遥香)
リプトン製品を販売する同社は、こども国連環境会議推進協会とともに「リプトン サステナビリティ大使ワークショップ」を東京で開催している。第1回のワークショップでは、同ブランドのサステナビリティへの取り組みを学び、アクションプランを作成した。朝9時半に始まり19時半に終了する1日がかりのワークショップに抽選で選ばれた64名の学生が参加した。
リプトンは、ユニリーバが所有するブランドの中でも特にサステナビリティへの取り組みが進んでいる。2015年末までに、世界中で販売しているティーバック製品の茶葉をレインフォレスト・アライアンス認証のものにすべて切り替えている。
また、ユニリーバ・ジャパンは2015年11月、全国の事業所の電力を自然エネルギーに100%切り替えた。これにより、リプトン製品をつくる工場やティーハウスも自然エネルギーを使用している。
次世代の育成について、「ブランドの成長をサステナビリティが後押しすると確信を得てきています。世界を変えていくには、若い人や消費者の協力が欠かせません。若い人たちにサステナビリティについて考えてもらい、自ら行動に移して貰うことが大切だと思っています」とユニリーバ・ジャパン広報担当の新名司さんは話した。
長期的なワークショップにした狙い
今回のワークショップは3カ月かけて行われる。実際に参加者が集まるのはワークショップと活動報告会の2回だが、その間に学生はレポートを2回提出しなければならない。
長期的なワークショップの狙いを「単に教えるだけでは心に残らないので、リプトンを通して自分で考えて行動に移してほしいと思っています。1日限りのワークショップでは、せっかく考えても達成できません。本当に意味のあるものにしたいと思っています」とリプトンのブランドマネージャー元島陽子さんは話した。
今回のワークショップを企画したのは入社1年目の浦崎まい花さんだ。学生時代に色々なワークショップに参加してきた経験から、学んだ気になって終わることのないように長期的なワークショップを考えた。「彼女がいたからリプトンブランドとサステナビリティを具現化することができた」と元島さんは言う。
途中で挫折する学生が出ないように、同社はLINEなどを使った綿密なサポートと「リプトン サステナビリティ大賞」を設けるなど工夫をしている。
実際の業務と同じレベルで学生に指導する
![]() アクションプランを社員と考える学生
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アクションプランを作成する際は、社員が各グループのディスカッションに加わって指導した。
「ビジネスが成立するかという問いを立てて考えてください。考えた企画が社員のものよりロジカルで利益を生むものであれば採用します」と緊張感のある言葉が学生たちに発せられる。
元島さんは「通常の仕事と同じレベルでフィードバックをすることにしています。そして、学生たちのアイディアを否定しないことも大事にしています。自ら問題提起するということを学び、この経験を色々なところで生かしてほしい」と語る。
学生たちは、学校行事を通して、給食の食品廃棄問題や飢餓問題の解決に取り組むアクションプランなどを発表した。講義でレインフォレスト・アライアンス認証について学んだこともあり、リプトン製品を使い同認証の普及を計画する学生が多かった。
学校でポスターを見て参加したという高校3年生の池田怜奈さんは、「現実的なアクションプランを練っていく作業を通して、中高生でも実行できることがあるとわかりました。授業選択ですでに環境について学んでいますが、今回のワークショップで進路の方向性も改めて考えようと思うぐらい意識が変わりました」と話した。
今後、学生たちは9月中に中間レポートを提出し、10月末に最終レポートを提出する。最終レポートを提出した全員に公式の「リプトン サステナビリティ大賞認定書」が渡される。授賞式は11月に開催される。
小松 遥香(こまつ・はるか)
オルタナ編集部
アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。