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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

SBから学ぶ日本企業成長のカギ――「SB国際会議2016」報告セミナー(2)

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参加者からの質問に答える日立製作所ICT事業統括本部の増田典生部長(左)とカシオ計算機の木村則昭室長(右)

「サステナブル・ブランド(SB)国際会議」はSustainable Life Media(米国・サンフランシスコ)が持続可能性とブランド価値向上をテーマに開催している国際カンファレンスだ。今年は、スローガンを「Activating Purpose(アクティベイティング・パーパス)」とし、6月6日から9日までカリフォルニア州サンディエゴで開かれた。会議に参加したカシオ計算機の木村則昭CSR推進室室長日立製作所ICT事業統括本部の増田典生CSR部部長 兼 ブランド戦略部担当部長が、7月13日の報告セミナーで講演した内容をレポートする。(オルタナ編集部=松島香織、小松遥香)

第二部のパネルディスカッションでは、カシオ計算機の木村室長と日立製作所ICT事業統括本部の増田部長が、それぞれ本会議で面白かった3つの講演やシンポジウムを挙げた。


■カシオ計算機
 総務人事統轄部 CSR推進室 室長
 木村則昭氏

1.「色あせないブランディング:社内にパーパスを浸透させるには」 ジョン・イッツオ氏

自己啓発書でベストセラーを出しているイッツオ氏は、「パーパス」を「顧客を代表とする全てのステークホルダーや社会、地球の今とこれからをより良くしようとする情熱的な動機」と定義している。

木村室長がSB国際会議に参加した理由は、カシオブランドの向上とサステナビリティを理論的に結びつけるためだった。そこで「色あせない(将来にわたりずっと有効な)ブランディング」というイッツオ氏の講演タイトルに目が留まったからだ。

イッツオ氏は更に「パーパス」について、「才能がある人を呼び込むにはパーパスを明確にする必要がある」「企業の価値観で従業員は動かない。人は自分の価値観で動く。だから、企業は従業員自身の価値観になるまで落とし込まないといけない」などと語った。

2. 「縮小する経済において、パーパスこそが生き残り戦略となる」 シモン・メインウェアリング氏

パーパスをどう活用すればいいかをわかりやすく説明したのは、ブランディングコンサルタントのシモン・メインウェアリング氏だった。

「パーパスは、顧客エンゲージメントやブランド・ロイヤルティ、売上への鍵となる。パーパスを活性化させることによってのみ、ブランドは顧客からの注目度やロイヤルティ、売上を維持できる。そして、企業が従業員に期待する生産性やエンゲージメントを維持できるのだ」と同氏は説明した。

3. 「ミレニアル世代とは」 アリア・フィンガー氏

世界最大規模のNGO DoSomething.orgの女性CEOアリア・フィンガー氏はミレニアル世代の特徴を端的に説明した。同NGOは若者とソーシャルチェンジのために活動する団体で、世界131カ国の500万人が参加している。

フィンガー氏はミレニアル世代の特徴として「目的がなければ動きださない傾向がどの世代よりも強い」「人種や宗教、経験など多様な価値観のなかで生まれ育ち、多様性を重んじる」「社会の窮屈さを最も感じている世代「自分にとって満足できるものかどうかが重要であって、ブランドかどうかは関係ない」などを挙げた。

■日立製作所ICT事業統括本部
 コーポレートコミュニケーション本部 CSR部部長 兼 ブランド戦略部担当部長
 増田典生氏

1. 「サステナブル・ブランズの10 年、進化を祝う」

「サステナブル・ブランズ」を運営するサステナブル・ライフ・メディアCEOのコーアン・スカジニア氏が司会し、IDEO、ウォルマート、トヨタなどの6社の役員・担当者が10年前から現在までのサステナビリティ活動を振り返ったパネルディスカッション。

サステナビリティとは事業戦略の中核に組み込むべきものであり、事業を考えるときには二つのアプローチがある。一つは自社リソース起点で考えること、もう一つは価値の提供先である「最終ゴール」つまり、「社会課題起点」から考えることだ。

増田部長はその手法のキーワードがサステナビリティだと理解したと話した。

2. 「10 億ドルの収益を上げる持続可能なブランドの成功と基礎」フレイヤ・ウィリアムズ氏

講演したフレイヤ・ウィリアムズ氏はFuterra北米のCEOで、「グリーンジャイアンツ」の著者だ。

ナイキやユニリーバなど「グリーンジャイアンツ」と呼ばれる企業は、サステナビリティを中核に据えることで、年間10億ドルの収益をあげている。「企業のあるべき姿(パーパス)を徹底的に追求する」「市場のメインストリームに訴求すること」など、「グリーンジャイアンツ」には共通する6つの戦略があるなどと語った

増田部長は4日間のセッションを聞き、自社と「グリーンジャイアンツ」は何が違うのか考え、「見せ方や広報の仕方」が問題なのだと気づいた。

3. 「国連持続可能な開発目標SDGs をブランド戦略に」クラウス・スティーグ・ペダーセン氏

クラウス・スティーグ・ペダーセン氏はノボザイム社 コーポレート・サステナビリティのトップ。

SDGsはビジネスソースの大きな波、SDGsを組織にどう組み込むかはビジネスチャンスである。生態系にとって最も有望・有効なイノベーションを見つけること、また、良きパートナーを見つけて協働(コラボレーション)するとより大きな取り組みが可能になる。リーダーシップ、ストーリーテリングが取り組みを加速させるキーワードになる、と語った。

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