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FSC森林認証の製品調達に広がりー花王・イオンなど

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米国オレゴン州のFSC認証を受けた森 (C)Sam Beebe「Stumpo & skidder 」

FSC森林認証の製品の調達が企業で拡大している。花王は2020年までに、製品に使用する紙・パルプを持続可能性に配慮したものにすることを表明し、3月から同認証を受けた段ボールの導入を始めた。イオンは衣料品の値札やタグに同認証の資材を使用するほか、衣食住の全分野で FSC認証製品を取り扱う。ミニストップでは2009年より国産の同認証木材を使用した木造店舗の展開を開始し、159店まで広がった。

森林認証を得た紙製品が5割超え―花王

適切に管理された森林資源を使用したFSC森林認証をもつ製品を、企業が自社の製品や配送材、建造物などに使うケースが増えている。

花王は、2013年の自社の原材料調達ガイドラインにおいて、「事業が自然資本に依存していることを認識し、パーム油や紙などの調達に関しては、原産地の森林破壊ゼロを支持する」ことを明言した。

これに基づき、同社では2020年までに、製品に使用する紙・パルプ、包装材料などは、再生紙、または持続可能性に配慮したものを購入すると宣言している。

具体的には、再生紙以外の紙やパルプに関して、基本的にFSC認証など第三者の認証を得たものとし、それ以外のものは、WWFジャパンが作る「林産物チェックリスト」を活用し持続可能性に配慮したものかどうかを確認している。

宣言の背景に「森林破壊に対する環境NGOの意識の高まり」があったと語る花王の田中秀輝執行役員

この宣言をまとめた同社執行役員の田中秀輝氏は、「この背景には、地球温暖化の原因となる森林破壊に対する環境NGOの意識の高まりがあった」と振り返る。

現在、同社で使用する紙・パルプの98%がこの基準を満たしており、森林認証を得たものは約5割に達している。さらに、パッケージや台紙、サニタリー紙など多くの製品に紙、パルプを使っているが、今年3月から、新たに商品梱包用にFSC認証を受けた段ボールを導入し、年内には使用量の半分に達する見込みだ。

同社購買部では、サプライチェーンに対しても同社の原料調達の方向性を丁寧に説明し、今後もFSCなど森林認証された紙製品の割合を増やしていきたい意向だ。

衣食住すべての分野でFSC認証製品を普及―イオン

イオンでは、2014年に「持続可能な調達原則」を作り、お店で販売する商品や資材などすべての素材に対して、自然資源の違法な取引や採取したものを使わないことや、トレーサビリティを明確化することを定めた。

そのため同社では早くから森林認証製品の導入に積極的に動いている。2008年からFSC認証紙を使ったノートを販売し、2011年からは値札やタグに、2015年からは一部商品のパッケージや製品そのものに同認証の資材を使うなど、衣食住すべての分野でFSC認証製品を扱っている。特に学習ノートは100%FSC認証紙のものを扱う。

さらに、認証木材を使うだけでなく、新店が開店する際には顧客と共に植樹活動を行い、これまでの植樹は累計1000万本を超えた。2014年からは三重県やNPO団体と共に「森びと養成講座」を開始し、林業の後継者の育成にも取り組む。消費者、NPOなど多様な主体と共に広く森林資源の保全活動を行っているのが特徴だ。

国産FSC認証の木造店舗を拡大―ミニストップ

イオングループのミニストップは、2009年より国産材による「FSC認証材木造店舗」の建設を進め、5月末現在159店舗に達した。

ミニストップ建設施設部岡村幸代氏は「FSC認証材は、価格変動が激しい鋼材に比べて価格が安定しており、品質も安定している」と話す。同社ではFSC認証材を薄くかつらむきにして張り合わせた構造材を使っており、安定した強度が出るという。「国内で伐採・加工しているのでプロセスが見え、トレーサビリティが確保できる」(岡村氏)ことも利点だ。

日本は世界有数の木材の輸入、消費国だ。木材輸入量は、1996年をピークに減少傾向で推移しているものの、今なお5000万立方メートル以上を輸入している。その中で、企業が適切に管理された森林資源を使うことの重要性はさらに増している。

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箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。

http://gogreen.hippy.jp/