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真のダイバーシティを考える

第16回:イノベーションはアウトローが起こす

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SB-J コラムニスト・山岡 仁美
Breather


ダイバーシティ推進の成長のプロセスには、アウトロー(異端者)の巻き込みが欠かせません。

しかし、女性の活躍や障がい者雇用、国籍やキャリアの違いを生かすなど、施策や制度・働く環境の改革も含め、ダイバーシティ推進を重ね経年している企業や組織も増えてきた昨今、案じていることがあります。

それは、多様性を認知し受容し生かしているようで、一定の組織文化の中で、単に寛容な甘えが散見されている現状です。

もともと、私たち日本人は勤勉で働き者、協調性が高くルールや慣習を重んじる国民性を持ち備えています。それは、とてもいいことである一方で、アウトロー(異端者)が力を発揮しづらいという側面があります。

振り返れば、世のイノベーションを起こした人や企業の多くはアウトロー(異端者)です。アマゾンやゼネラル・エレクトリックも、アインシュタインやスティーブ・ジョブスも、サステナブル・ブランド ジャパンではお馴染みのネスレや3Mも然りです.

確かに女性の活躍や障がい者雇用、国籍やキャリアの違いを生かすなど、施策や制度・働く環境の改革などは、ダイバーシティ推進の試金石として、一定の効果となっています。しかしながら、あくまでもビジネスパーソンとしてのキャリアを重ね、チームに貢献していくことが前提のものが多く、一定の組織文化にとどまっています。したがって、残念ながらアウトロー(異端者)が生かされているとは言い切れません。

多くのアウトロー(異端者)は、独創的なものです。また独自の一貫性をもっています。その独創性によって組織を変革し、さらに一貫した信念によって意思決定者さえも大きく変容させる、そんなアウトロー(異端者)こそが、イノベーションを起こすのです。

そして、そのイノベーションがもたらすものは、決して混乱ではなく、進化なのです。もちろん、その経過では、混乱や嵐が巻き起こる時期もあることでしょう。しかし、嵐の後には必ず快晴が訪れるものです。

昭和をけん引したかつてのソニーには、多くのアウトロー(異端者)が存在し、ソニーそのものも企業としてアウトロー(異端者)でした。いかに人と違うこと、他者が考えそうもないこと、世に出ていない面白いこと、社会を驚愕させるアイデアを創出できるのか邁進し、生まれたのが世界初の小型音楽プレーヤーの「Walk Man」でした。世界中で大注目・大ヒットした「Walk Man」。その莫大な量産のためにソニーは協調性をもって勤勉に働く路線へと次第に変容していきました。

アウトロー(異端者)を巻き込み、生かす。ダイバーシティ推進は、その時期に差し掛かっているのです。

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山岡 仁美
山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

グロウス・カンパニー+ 代表取締役
航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。

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