第9回: 『べっぴん』のCSR
|
~ ビジネスと社会課題解決を両立させ、『らしさ』で競争優位を創り出す!待望の戦略メソッド ~
NHK朝ドラの「べっぴんさん」が人気放映中です。タイトルの『べっぴん』は、「美しい女性」を意味する「別嬪」だけでなく、
特別なものや本物
を示す『別品』の意味あいを合わせ持ちます。戦後から高度成長期、ヒロインが思いを込めて真摯に作り出していく子供服は、それを着せる母親や着る子供を、この上ない愛情で包み込みます。まさに、普通の品物とは違う、特別に良い『別品』です。
先進のCSRは、「事業戦略」に「時代の要請や期待」を組み込み、時代にふさわしいビジネスとして磨きをかけます。ただし、最終的に競争力となるのは、他社との『違い』を作ること、『ならでは』を発揮することです。「CSRブランディング」とは、ビジネスと社会課題解決を両立させ、『らしさ』で競争優位を創り出す戦略メソッドです。これこそが、『べっぴん(別品)』のCSRです。
「らしさ」を触媒に、競争優位を獲得する
年が明け、経営トップの年頭メッセージに接すると、持続的成長に向けて、時代の変化への対応や社会との関係を強めていこうという意識は一段と高まってきているようです。そうした経営姿勢が「企業価値・コーポレートブランド向上」に資するという考え方が拡まってきました。
先進のCSRは、従来からのビジネスに時代性を組み込み、時代を味方に付けながら、社会との価値共創のビジネスへと脱皮する重要戦略です。そして、その上で、「自社らしさ」が触媒になることで「差異化」が実現し、競争優位につながります。「CSRブランディング」のメインフレームの3つのリングの真ん中の「★(レッドスター)」がそのゾーンとなります。
|
「らしさ」って、何?
『らしさ』とは、表層的なイメージだけでなく、自社の存在意義として深層から湧き出る概念であり、ブランド・アイデンティティを示します。これにより、顧客をはじめとするステークホルダーとの長期にわたる精神的な結びつきを構築することができます。
そのためには、自社の定義ともいえる「らしさ(ブランド・アイデンティティ)」を見極め、顧客をはじめとする社会に明確に表明し、それに寄せられる期待に、『らしく』応え続けることが、「ブランディング」の要諦となります。
『らしさ』を端的に表現すると、「お家芸(得意技)」と「個性」であり、自社のこだわりや最も大事にしている価値観が反映されています。創業のスピリットや経営哲学が脈々と受け継がれ、「企業理念」や「組織文化」となって引き継がれているものです。
『らしさ』は、企業の哲学・理念、経営トップの顔、社員のビヘイビア(企業行動、一挙手一投足)、そしてその会社の哲学が具現化されている製品・サービスによって醸し出されます。それによって、顧客や社会にとって、『他とは違う』一目で分かる特長として表われ、信頼と愛着につながります。
朝ドラ「べっぴんさん」の戦後から高度成長期は、作れば売れると言われた時代であり、「安かろう、悪かろう」の模倣品や偽物が頻発します。それらが市場に出回ると、もちろん売上が減ることが気になるものの、それよりも自社として致命的なのは、『らしさ』に期待してくださるお客様との『約束』が守れなくなることだと痛感します。
ブランドとは、お客様(社会)との『約束』 です。これをブランド・プロミスといいます。
パーソナル・ブランディングにも、「CSRブランディング」
「CSRブランディング」の考え方に基づき、『自社らしく』世の中の要請や期待に応えることにより、差異化が図れ、信頼と愛着がもたらされます。「時代に選ばれ、次代にも輝き続ける企業」への道に通じます。
顧客のみならず社会に恩恵をもたらす際に投下される経営資源については、『持ち味』を活かすことが、高い投資効果に結び付くことは言うまでもありません。『らしさ』は、現代企業の命運を左右する無形の競争要因といえます。
そして、『らしさ』は、コーポレート・ブランディングだけでなく、パーソナル・ブランディングにとっても中核エンジンとなります。年頭にあたり、企業も個人も、高い志を実現する一助として、「CSRブランディング」メソッドをお薦めします。