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真のダイバーシティを考える

第9回:散見される様々な格差

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SB-J コラムニスト・山岡 仁美

女性の活躍推を試金石に、女性が長く働き続けることを支援するだけでなく次のステップとして、男性とは異なりうる女性ならではの視点や能力を引き出し企業価値創造に結びつけようとする視点、すなわち「ダイバーシティを活かしたイノベーション」を目指す視点から取り組む企業がみられつつある昨今です。

つまり、経済変動が激しいグローバル時代において、他社との差別化を図るための重要な経営手法として、企業経営の中で多様な価値観やスキルなどの「違い」こそを「積極的・戦略的に」活かしてイノベーションを図り、競争優位の源泉を築こうという取り組みです。

そして、それらダイバーシティ推進に取り組む企業では、「女性」ということは取り組みの重要要素の1つであって、外国人、障がい者、あるいは男性でも従来とは異なるライフスタイルやキャリアパスを求める人財など、より多様なターゲットを視野に入れて施策が進められる場合が増えてきました。

その中、ダイバーシティ格差も散見されるようになっています。その格差は、大きく2つに分けられると考察できます。

ひとつは、企業間格差です。

前述したイノベーションとしてのダイバーシティ推進とは真逆ともいえる導入企業も多くあり、例えば「女性活躍推進法が制定されたから」「同業他社が取り組んでいるから」などと、戦略観が低く、言わば「仕方なく」取り組んでいる企業では、不要なコストや一部に重労働のしわ寄せが生じたりと、ともすると事業の足かせとなっている状況も見受けられます。

もうひとつは、施策格差です。

ここでいう施策というのは、ダイバーシティ推進を図る企業内ではなく、政府・自治体・民間を含め、個人を対象にした施策のことです。

成長戦略として多様性を活かすのですから、働き方や能力開発の仕方は様々になって当然です。それにもかかわらず、起業やキャリア開発など、この力を発揮するための施策は、地域においても施策種においても、大変偏りがあるのが現状です。それによって、今現在の日本におけるダイバーシティ推進は大企業が主になるにとどまっています。

日本社会でのダイバーシティ推進は、急務でありながら、まだまだ歩み始めの域ですから、課題山積です。しかし、急務である限り、このような格差を是正する切り口を持ち合わせる必要があります。

私は、そのひとつに、ミレニアル世代(Millennial Generation=2000年以降に成人、あるいは社会人になる世代)の特性を巻き込むことが、この急務の頼もしい力としての秘策ではないかと、提言しています。

そして、次回からは、そのミレニアル世代について述べていく予定です。

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山岡 仁美
山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

グロウス・カンパニー+ 代表取締役
航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。

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