第4回: 抜本的な人事評価制度の改定が欠かせない
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ダイバーシティ推進は重要経営課題であり、組織強化のため取り組む企業も増えました。これを推進していくためには、制限のある人財を生かすことが不可欠です。現状の人事評価制度は制限のない人財を対象に設計されており、抜本的な見直しが必要です。
2015年7月発行の「オルタナ41号」では、カルビーの松本晃・会長兼CEOが、スペシャルインタビューで「ダイバーシティ(多様性)なき企業に明日は無い」、その理由は「やらなければ会社が滅びる」と明言しています。まさにその通り!言うまでもなく、ダイバーシティは、多様性を認知し受容するのではなく、個を活かし組織を強化する企業の重要経営課題だからです。
オルタナ41号、表紙は松本晃カルビー会長兼CEO
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ダイバーシティをそのように捉え推進している企業が増える中、苦慮している一つに、人事評価制度の改革が挙がります。
そもそも、私たち日本の企業での人事評価制度は、残業も出張も転勤も何でも対応する従業員を対象に設計されています。いわば、職務遂行に特段制限のない人財を対象にしているということです。
ところが、ダイバーシティ推進を図っていると、制限のある人財を活かすことが必然です。それはもちろん、多様性という個を活かすのであれば、当然のことです。育児中や介護中、障がい、年齢、キャリアなどの違いを活かすにおいて、残業も出張も転勤も実質不可能です。
ならばどうしたらいいのか?そのための、時短勤務やテレワークなど雇用条件、社内保育所や育休・介休や社内のバリアフリー化など福利厚生としては、工夫や努力も顕著に見られる企業も増えてきました。
しかし、結局は、時短勤務中の給与減額は止むを得ない、キャリア不足で一定の仕事しか任せられない、テレワーク中はプロジェクトに参画できない、などといった、人財を活かせていない状況が露呈するものです。それでは、真のダイバーシティではありません。
そこで、欠かせないのが人事評価制度の抜本的な見直しです。制限のない人財と制限のある人財を同じ土俵に乗せるスケールへと設計するのです。簡単に言うと、年次や残業時間や雇用形態などは考慮せず、職務遂行と能力のみを評価するのを基本とするのです。