第1回: 時代に選ばれ次代にも輝き続ける企業であるために
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~ ビジネスと社会課題解決を両立させ、『らしさ』で競争優位を創り出す!待望の戦略メソッド ~
今この時代の企業経営の根源的な使命は、何だと思いますか?
それは、まずは「企業を継続させること」、そして「持続的な成長を目指し、社会からの評価を高めること」ということが共通認識となってきています。そのため、その『最大の敵』ともいえるのが「環境の変化」といえます。これを克服してこそ、「あるべき姿」に向かえます。創業時から今日まで、長きに渡って営々と発展してきている企業は、おしなべて、この「あるべき姿」に「社会を豊かにする」「社会を幸せにする」「社会に貢献する」などと掲げています。
ところが、時代とともに「社会」の関心や価値観が変化するに連れ、企業に期待される役割や責任も、それを映し出して変化します。過去に通用してきた成功体験や理屈だけに拘泥すると、現代社会のためにならなかったり、場合によっては、害を与えることになったりします。
そのため、目まぐるしく変化する社会のニーズや価値観を捉える感性の鋭さを備え、かつ時代にふさわしい「対応」が不可欠です。「対応」とは、英語で、response。つまり、CSRのResponsibilityの「R」の本質がここにあります。この単語response(反応する、対応する)と、ability(力、能力)からなります。つまり、「対応する能力」といえます。いつの時代にも、磐石な経営基盤を確保しつつ、あらゆる変化に柔軟に「対応」していくことこそが、CSRの基本です。
巷間では「CSRでメシが食えるか?」という発言があるらしいのですが、「今や、CSRをないがしろにしていると、メシが食えなくなる」と明言できそうです。目先の利益は大事、ただ、目先の利益を着実に続けていくためにも、CSRが必要ということです。したがって、今日の企業にとって、「現代社会の要請や期待」への「対応力」を研ぎ澄ませた経営、すなわち「CSR経営」が不可欠であり、企業競争力の原動力となります。
CSRは、企業の経営戦略の中核に位置付けられるようになり、企業の持続的な成長を促し、社会的評価を高めることにつながります。そして、社会的評価が高まれば、持続的成長がもたらされます。
CSRは、ここ数年で格段の進化を遂げ、従来の「社会貢献活動」や「リスク対応型CSR」から、「価値共創型CSR」へと進展し、さらには、コーポレートブランドや企業価値向上につながる「CSRブランディング」という、戦略的なステージにまで広がりつつあります。
CSRは、社会や生活者の「変化」を認識することが基点であり、社会とともに「新しい価値」を提案し、「新しい市場」を創造し、「現代社会の要請や期待」にきちんと応え、信頼や支持を獲得することにつながります。
そして、「CSRブランディング」は、ビジネスと社会課題解決を両立させ、『自社らしさ』を発揮することによって競争優位を創り出す戦略メソッドとして、脚光を浴びています。
信頼・信用は、競争力といわれる時代、その上で、「らしさ」(得意技と個性)を発揮することが、時代が求める競争優位の源泉となります。今この時代に選ばれ、次の時代にも輝き続ける企業であるために、「CSR」で『社会対応力』を備え、「ブランディング」で選ばれ輝く。すなわち、「CSRブランディング」でサステナブルな競争優位を獲得することが、現代の経営戦略の要諦となります。
次回以降は、数年前に上梓した「企業ブランディングを実現するCSR」(産業編集センター刊)のエッセンスとともに、最新バージョンの「CSRブランディング」について、私が提唱するメインフレームに基づき、系統立てて分かりやすく解説していきます。