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サステナブル・オフィサーズ第16回  フルッタフルッタ

アグロフォレストリー(森林農業)、第2の成長期目指すーフルッタフルッタ 長澤 誠・代表取締役CEO

Interviewee
長澤 誠・フルッタフルッタ代表取締役CEO
Interviewer
森 摂・オルタナ編集長

ブラジル・アマゾンの熱帯雨林を守りながら高付加価値の農業を育成するアグロフォレストリー(森林農業)。同地で採れるアサイーを中心にビジネスを拡大し、2014年に上場したフルッタフルッタが第2の成長に向けて模索を続けている。キーワードは、農産物の多角化と販路の開拓だ。

農産物を提携企業に供給

美容やアンチエイジングに効果がある「スーパーフルーツ」としてブームになったアサイーの商品

――SDGs(持続可能な開発目標)が日本でも広がるなか、社会課題を起点とする「アウトサイドイン」型のビジネスが増えています。フルッタフルッタは森林農業で採れたアサイーの加工販売で東証マザーズへの上場に至りました。今後、成長の第2ステージを目指すための戦略は何でしょうか。

長澤:当社のビジネスモデルは、もともとプロダクトアウト型なので、第1ステージでは、この商品の価値を日本の市場に認めてもらう必要がありました。

現在は第2ステージに入ったと思っています。第2ステージで掲げているのは、「アグロフォレストリーのアライアンス(連携分業)構想」です。

アグロフォレストリーで生まれる様々な農産物を、提携企業に供給する構想です。メーカーとしては、アグロフォレストリーから生まれた農産物を通じてビジネスを拡大できるので、事業直結型の社会貢献になります。

例えば、提携先の明治に供給しているカカオの量は非常に伸びていますし、酸味と香りが特徴的なクプアスなども、洋菓子店の「パティスリー・ヨシノリ・アサミ」や「マ・プリエ―ル」が仕入れたりしています。

――アグロフォレストリーによって、現地の森は再生していますか。

長澤:アグロフォレストリーがどこまで森林の再生につながるかという効果測定はまだできていないのですが、現地からの輸入数量は増えており、現地の経済に大きく貢献しています。

こうした循環の規模が大きくなると、社会に対するインパクトが出てくるはずです。そこに何か新しい価値が生まれてくると期待しています。

アマゾンの入り口にあるトメアスでは、アグロフォレストリーによって、7000ヘクタールほどの荒廃地が再生しました。急激な拡大はしていませんが、森林の面積の維持はできています。当社と契約しているCAMTA(トメアス総合農業協同組合)は好景気に沸いています。

仕入れ側にダブルリスク

――現地の経済が回り、生活が改善されていることは素晴らしいと思います。

長澤:素晴らしいことをしているという自負もありますが、同時に難しさも感じています。

生産者側とはフェアトレードでパートナーシップを組む必要があるのですが、現状では、一方に負担が掛かりかねません。

彼らは契約に従って、農産物を収穫し、出荷すれば済みます。一方、仕入れ側は、マーケットの開拓をしなければ利益になりません。つまり、フェアトレードをサステナブルな形で続けていくには、「仕入れ」と「マーケットの開拓」の両方のリスクを克服しなければなりません。

例えば、生産者とは1年前に契約しますが、契約した料金の半分を先に支払います。仮に10億円で契約したとすると、5億円を先に支払います。この5億円は短く見積もっても最低1年間は現金になりません。さらに、市場のメカニズムとして、ブームの衰退が起きます。

1年前にこの変化を予測することは難しく、マーケットが動かなくなったとき、仕入れ側は大打撃を受けます。

社会性の高いものから生まれてくる産物は無名なものが多く、収益化するにはマーケティングが欠かせません。そうしたコストも仕入れ側に掛かります。

創業して10年間は、ブームの勢いもあり、急拡大しましたが、上場がピークアウトでした。マーケットのブームは一気に上がると一気に下がってしまいます。今はこの動きに巻き込まれていますので、打開しなければなりません。

――近年は、「サステナビリティ」を経営の軸に据える企業は日本でも増えており、森林農業とビジネスを両立させる理念は、消費者や他の企業にも広がると期待しています。

長澤:そうかもしれません。以前と比べると需要は上がってきたと思います。いずれにしても、今後、ビジネスにおいて「サステナビリティ」が当たり前になるに連れ、バリューチェーンの各段階においてどうリスクを取るかが問われると思います。

ICTでアグロフォレストリー拡大へ

――森林農業のアライアンスを拡大していくために、どういうパートナーを求めていますか。

長澤:自動車メーカーには、植物の繊維からつくるファイバー関係の部材を供給できますし、医薬品メーカーには天然の油脂やハーブを供給できます。日本ではあまり知られていませんが、ガンに効果があるとされる「キャッツクロー」という植物にも可能性があります。

アマゾンには多くの植物やフルーツがありますので、サステナビリティを標榜したいという企業のニーズに応えられます。大口の需要に備えるために、大手電子メーカーと組んで、アグロフォレストリーにドローンを飛ばして、生産者の技術をビッグデータ化する実証実験を行っています。成功すれば拡大につながるはずです。

とはいえ、単に社会性の高い農産物を仕入れるだけでは意味がなく、その製品を市場にどう広げていくかのマーケティングが必須ということを忘れてはいけないと思います。

アサイーはフルーツなのにサプリメントのように栄養価が高いことが特徴です。当初は無名でしたが、美容やアンチエイジングに効果がある「スーパーフルーツ」として価値を見出し、需要を広げてきました。

市場で認知されると、新たなマーケットが生まれます。「スーパーフード」や「ギルトフリー」がそうです。今では、ギルトフリーのナッツがとてもよく売れており、今後ブラジルナッツなども有望です。

社会性が高いからという話ではなく、売れるからほかの業者が参入してきます。こうした動きは、日本でアサイーが果たした一つの成果だと思っています。

――次の10年に向けて、販路の拡大はどう考えていますか。

長澤:社会性の高いカカオを求める需要は、日本よりも海外市場にあると見ています。そのため、海外企業との提携を進めていきたいと考えています。途上国で人口が増えていくため、食糧の需給ひっ迫が起きると予測しています。パーム油の需要も高まるでしょう。

アサイーについては、アジア市場への展開を進めていて、今年の5月には台湾のコストコでの販売が決まりました。その次は、タイや東南アジア、最終的には中国への進出を目指しています。

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長澤 誠 (ながさわ・まこと)
長澤 誠 (ながさわ・まこと)

関西学院大学卒。2002年株式会社フルッタフルッタを設立。ブラジルのアマゾンの日系生産者らの農協CAMTAと独占契約を結び、アサイーをはじめとするアマゾンフルーツ輸入加工販売ビジネスのパイオニアとして市場形成を手掛ける。企業理念に「自然と共に生きる」を据え、アマゾンフルーツのビジネスを通じてその生産現場の森をつくる農業「アグロフォレストリー」の発展に貢献することをミッションとしている。

森 摂
インタビュアー森 摂 (もり・せつ)

株式会社オルタナ代表取締役社長・編集長。東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」(東洋経済新報社、2007年)がある。一般社団法人グリーン経営者フォーラム代表理事。特定非営利活動法人在外ジャーナリスト協会理事長。